CARTIER 色彩美際立つミニマルデザイン


毎年、アイコニックなコレクションを再解釈した新作で時計業界の話題をさらう 「カルティエ」。2021年は、「タンクマスト」に注目が集まった。お馴染みのレクタンギュラーケースの「タンク」と、1970年代から80年代にかけて大人気を博した伝説のタイムピース「マスト ドウカルティエ」を踏襲したコレクション。

やや丸みを帯びたレクタンギュラーケースで、ラグがなくケースとストラップが一体化したデザインが魅力 的だ。さまざまなバリエーションで登場したが、カラーが目を引く写真のモデルがとくに新鮮だ。

文字盤には、メゾンのロゴ以外、 「タンク」の特徴的なローマ数字やレイルウェイミニッツも一切入っていない、見事なまでに削ぎ落とされたスタイルだ。だからこそ、文字盤にあしらわれた色彩が一際目を引く。

完璧に調和したアリゲーターストラップが色の印象を強調する。展開されるカラーは、「カルティエ」が伝統的に使用してきたレッド、グリーン、ブルーの3色だ。どこか落ち着いたカラーなので、ともすればポップな雰囲気になる3つのカラーだが、洗練されたモノクロームに仕上がっているところに、メゾンの美意識が冴える。

この3色は、美術の世界では“光の3原色”といわれるカラーである。この3色の光を混ぜ合わせると、全ての色ができる基本の色とされているものだ。ある意味、色を司るカラー。

そのため、「タンクマスト」の時計の色彩は記憶に強く残るのかもしれない。最後に、このモデルは薄くて、着け心地がよいのも魅力だ。程よい大きさなので、シェアウォッチにも推したい。

タンクマスト

文字盤はラッカーでカラーリング。深みのある色調に仕上げられている。長寿命クォーツ(約8年)。SSケース。アリゲーターストラップ。ケースサイズ縦33.7x横25.5mm。各33万9900円。問カルティエ カスタマーサービスセンター Tel.0120-301-757

Photographs:Hisashi Wadano

2021年9月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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