de GRISOGONO 甘やかな夜に捧ぐジュエリーのきらめき
ミラノの老舗テーラー、ア・カラチェニのスーツを粋に着こなすファワズ・グルオジは、ジュエリー界きっての伊達男。ジュネーブに住まいし、ヴィンテージのシボレーコルベットを愛し、南の島では自前のクルーザーを駆る。
彼は一代にして自らのブランド「ドゥ グリソゴノ」の世界的地位を確立し、社交界をいろどるセレブリティたちを虜にしてきた。欧州三大映画祭のひとつ、カンヌ国際映画祭のレッドカーペットでは、毎年さまざまな女優がドゥ グリソゴノのハイジュエリーを身にまとい、を競う。
そして恒例となったグルオジ主催の大パーティには、名だたる俳優や貴族、ソーシャライツたちが集い、カンヌの夜が白々と明けるまで酔いしれるという。パーティキングにしてドゥ グリソゴノのクリエイティブディレクター、ファワズ・グルオジは、フィレンツェ育ちのレバノン人。
いくつかの著名ブランドでカリスマ的存在感を発揮した後、1993年にドゥ グリソゴノを創業した。ブラックダイヤモンドや乳白色のアイスダイヤモンドなど、これまでジュエリーには使われなかった素材を大胆に用い、トレンドを牽引。
特に時計は、スイスメイドの機械式ウォッチにハイジュエリーのエッセンスを初めて持ち込んだとして高く評価されている。今回の「トンド バイ ナイト」は、ダイヤモンドをちりばめたローターが文字盤に配され、腕を動かすたびに輝きを放つ。
暗闇でほの光る特殊な蓄光素材でケースを作ったユニークなモデルである。「私はこの時計を幸せに満ちた夏の日とゴージャスな夜に捧げます。この時計は、単なるラグジュアリーな時計というだけでなく、魅惑的なジュエリーとして身につけることができるでしょう」。
ファワズ・グルオジはこう語る。人生を思いきり謳歌するから、こんな時計を生み出すことができる。彼にしかできない粋な遊び心が、強烈に効いている。ハイソサエティの人々が心底魅了されるのには、こうした理由があるのだ。
トンド バイ ナイト
ブラックPVD加工のローターに上質なダイヤモンドをあしらい、黒と白のコントラストの妙を強調したデザイン。回転するローターを文字盤側に配したムーブメントは、このコレクションのために自社開発されたオリジナルだ。このPGモデル以外にもさまざまなカラーバリエーションがあり、暗がりで発光するフォトルミネッセント合成グラスファイバーを採用したモデルだ。ドゥ グリソゴノの得意とする素材、つややかなガルーシャスキンもこのコレクションに使われている。自動巻き。ケースサイズ48.59×43.05mm。3気圧防水。PLFケース、ダイヤモンド、ガルーシャストラップ。351万円。ムラキ 問03-3273-0321
Photographs : Hisashi Wadano Text : Keiko Homma
2017年6月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)