「長く愛着を持って着れる至高のニット」
イタリアの中央に位置するウンブリア州、丘と谷に囲まれ緑に恵まれた地に独特な地形を生かし作り出された中世の街並みが存在する。そんな歴史的で立派な古代地域の街には、網目のような曲がりくねった特徴的な道がつながれ密集したコミュニティが創り出されている。その地に1959年創業のニットファクトリーが存在する。名だたるメゾンのニットを引き受け人々が愛して止まないニットを作り続けているファクトリーである。僕自身も15年前に買ったこのファクトリーのニットを今でも愛用している。
そのニットを手にしたとき、その着心地の良さ、見栄えの良さを感じるのは間違いないだろう。ファクトリーの名前は、Umbria Verde。得意とするニットは、ハイゲージと言われる薄手のニットウェアである。通常日本に流通しているニットは、中国製か日本製、一部ベトナム製などもあるがいずれも自動機や手横機と言われる機械を使い作られている事が多く、それらとも全く違った表情を持ったニットを作っているファクトリーである。
上:Umbriaの街並みと雄大な自然
では、違いは何かというとそれは機械にあるのだ。フルファッション機と言われ、通称「FF」と言う機械を使いニットの編みを行なっている。この機械は、多くがヨーロッパに存在する機械でイギリス、イタリア、そして、一部日本にも存在している機械になる。Umbriaのニットは、昔ながらのこの機械を使い丁寧に編む事で量産を目的とされ均一性を出す為に作られた現代な機械とは違いを出している。それは、絶妙な表情や膨らみが生みだされ、独自の風合いを醸し出しているのが特徴になる。
かつては、日本でも国内自動車メーカーが生地を織る機織りの機械を作っていたことも有名であるが、この機械もイギリス高級自動車メーカーベントレー社が作っていたコットンマシーンと言う機械によるものだ。この機械は、コットンマシーンと言われるだけあり、細いコットンの糸を扱うことを得意としていたもので今では、改良が加えられウールの細い高級な原料を上手に編むのに適している。その為、改良に改良を重ねたUmbria Verdeの機械では、37ゲージという世界でも類を見ない細くて繊細な編みを行うことができ、上質な表情のニットを実現させているのだ。
ニットは、糸と機械と編み地との組み合わせで決まると言われている。糸の番手(太さ)とゲージ(針数)が上手く噛み合うと絶妙な表情と目のつまり感が生まれ、それは着心地や長く着続けることの出来るニットの丈夫さなどにもつながることになる。このような細かな作り込みや研究を重ね作り続けられているファクトリーである。
コットンマシーン通称「FF」である。
ファインゲージを生み出す為の細かな針数
そのこだわりは、仕上げの加工にまで及んでいる。仕上げとは、最後に行うソーピングと言われる洗い加工。そして、丁寧に形を作り上げるプレスがある。このファクトリーは、ブランドの品質を保つ為、風合いを出すためのソーピングで各ブランドの独自の洗いの時間や温度などを管理し、常に同じ風合いで仕上がるようにしている。また、仕上げを変化させる事で同じ糸を使っても独特の新しい風合いや顔を創り出すこができる。これは、各ブランドの自社のアイデンティティであるオリジナルの風合いを作りあげることが出来るということにもなるのである。
このように歴史ある工場の誇りとプライドが世界のハイエンドなもの作りを支え、常に新しい価値を届けようと革新を続けているのだ。歴史ある物作りへのリスペクトと共に常にこだわり続け革新される本物には、長く愛着を持って着れる価値が宿るのではないかと感じている。
Fashion Designer : Mr.M
独自の浴比、時間、温度設定を施し、より良い風合いを表現する。
丁寧にプレスを施し1点1点仕上げていく様子。
Original Brand>
「Antica Maglieria Artigiana」
37G cashmere70% silk30%
MADE IN ITALY
Maglificio Umbria Verde s.r.l.
Via A. Ponchielli, 27 – 06074 Ellera di Corciano,
Perugia – ITALY
+39 075.517.15.11
info@maglificioumbriaverde.it