HG TOPICS Vol.24
HOTNEWS 1
CARTIER
時計の未来はデジタルが切り拓く!話題を呼んだS.I.H.H.の新しい試み
第29回目を迎えた今年のS.I.H.H.はこれまでにない、斬新な展示ブースがあった。それが会場の一角に設けられた「SIHH LAB」。時計ブランドや関連企業の、時計業界の未来を拓く取り組みを紹介するスペースだ。ブースには白衣を着た時計技術者に加えて、背中に「SIHH LAB」と書かれた白いTシャツを来た若者たち。
彼らは時計産業の未来を担うかもしれない、科学技術分野で世界最先端を行くスイス連邦工科大学ローザンヌ校やデジタルマーケティングを学ぶジュネーブのビジネススクールの生徒たちだ。
彼らがデジタル技術を活用して機械式高級時計の未来を拓く興味深い取り組みを説明してくれた。なかでも素晴らしいと思ったのが、パソコンやタブレットと繋ぐだけで時計の作動音からメカニズムの状態を判定してくれるカルティエのシステムや、過去の傑作と資料をすぐに検索できるヴァシュロン・コンスタンタンのデジタル・アーカイブシステム。
どちらも、明日にも時計専門店の店頭に導入できそうなもので、今から導入が待ち遠しい。
カルティエが展示した機械式腕時計の「健康診断」システム。機械式時計好きなら、ぜひ1台自宅に欲しい!?
展示ブースの前でお出迎え役をしていたのは、日本ではおなじみのロボット「ペッパー」。スイスではまだ珍しいからか、注目度は抜群だった。
GREAT ATTENTION! 2
PANERAI
時計本体より魅力的!?特別体験付きモデル登場
「モノ消費よりコト消費」へと消費動向の変化が叫ばれて久しいが、今年のパネライは「コト消費付き」つまり購入者が特別な体験ができる3つの限定モデルが登場。ひとつはフリーダイビングの元世界王者、ギョーム・ネリーとのダイビング体験付き。そしてもうひとつが極地探検家マイク・ホーンとの北極流氷ツアー。さらにもうひとつがパネライのルーツに関わるイタリア海軍特殊部隊とのダイビングを含むハードなトレーニングセッション。どれも400万円を超える価格で、日本で購入可能なのは1名程度。でも、その体験の特別さを考えると「お買い得」かも。あなたならどの体験がしてみたい?
これはギョーム・ネリーとのフランス領ポリネシアでのフリーダイビング体験付きの「パネライ サブマーシブル クロノ-47mm ギョーム・ネリー エディション」。世界限定15本。8月発売予定。パネライ 問0120-18-7110
NEW COMER3
BOVET
サロン初出展に意気込む超絶複雑時計が続々
今年初めてS.I.H.H.に出展し、コアな時計愛好家から熱い視線を浴びたのがボヴェ。CEOとしてブランドを率いるパスカル・ラフィー氏はもともとアンティークウォッチの熱心なコレクターであり、その情熱からブランドを買収し、マニュファクチュールとしての体制を整えたことでも知られる。
記念すべき初出展の今年、発表された3つの新作は、どれも時計コレクターにとって見逃せない、複数の複雑機構を搭載する超絶コンプリケーションモデル。特に印象的なのが、ライティングスロープ型という、6時位置に向かってベゼルが傾斜している独特なカタチのケースを使ったモデル。時計愛好家は要注目だ。
ライティングスロープ型サファイアクリスタルケースの新作「ディミエ リサイタル26」。フライングトゥールビヨンや3Dムーンフェイズ、ビッグデイトなど機能満載。ボヴェ(DKSHジャパン)問03-5441-4515
Text:Yasuhito Shibuya
2019年3月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)