Cover Story ヴェールを脱いだ 英国紳士ならぬ、英国貴婦人

「タンク アングレーズ」。それは、冬のスイスで開かれるリュクスな高級時計の展覧会、ジュネーヴサロンで初めてヴェールを脱いだ。アングレーズとは、英国という意味。

ロングセラーとなって愛され続けている名作、タンク フランセーズ、タンク アメリカンに続いた、まったく新しいタンク。横から見ると薄型で優雅なカーブを描き、人間工学に基づいた設計によって、手首に優しくフィットする。アール・デコの時代に最初のデザインが描かれたというタンク ウォッチのDNAは、正面から見たときの凛とした直線に生かされている。

そしてローマ数字、ブルースティールの針、線路型分目盛といった、カルティエのシンボリックなデザインコードが文字盤を飾る。どの角度から視線を浴びても、美しい。タンク アングレーズは、けっして隙を見せない時計なのだ。

ただし、まるでルージュを思わせる鮮やかなストラップを見てわかるように、この時計は決してますらお振りではない。艶やかで、なおかつ自分という芯をしっかり持った、たおやめ振りのレディスウォッチなのだ。

だから男性はうらやましさと好奇心を隠しながら、横からこの時計を眺めているしかない。眺められていると不思議なもので、何気ない仕草が自然としとやかになってくる。完成度の高められた時計には、そんな効果もあるから面白い。

だからまずは、今年の時計界に旋風を巻き起こした新作、タンク アングレーズを手にとってみてほしい。きらめく質の高いダイヤモンド、発色のよいレザー、アール・デコ様式の香りをかすかにとどめたスクエアなデザイン。

でも、どこか甘やかで丸く、たおやかなのだ。その新鮮さが、この新作のかんどころといえるかもしれない。

Cartier

タンクアングレーズ

メゾンのアーカイヴに保存された資料や古いデザイン画などからインスピレーションを得て、ふっくらとしたスクエアなレディスモデルとして誕生した、2013年の最新コレクション。さまざまなヴァリエーションがあるタンク コレクションの中でも、とくに注目を浴び、ジャーナリストやバイヤーたちの評価も高い。「初めてのカルティエ ウォッチ」としても、「上級者のカルティエ ウォッチ」としても十分満足できる、すっきりとしたフェミニンなデザインが見事だ。 クォーツ。18KWGケース×ダイヤモンド。アリゲーター ストラップ。ケース幅30.2㎜×22.7㎜。/カルティエ カスタマー サービスセンター (問)0120-301-757

Photo by Hisashi Wadano
Sentence by Keiko Homma

2013年6月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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