時計好きならいつかは手にしたい「究極の旅時計」

クロワゾネ・エナメルで描かれているのは、ジュネーブ・レマン湖で今も航行されているベル・エポック時代(19世紀末から20世紀初頭)に建造された蒸気船。

パテック フィリップ「ワールドタイム・ミニット・リピーター,ワールドタイム5531モデル」とは?

去る5月5日、世界保健機関(WHO)は2020年1月から出していた「新型コロナ緊急事態宣言」の終了を発表。ワクチン接種やPCR検査による陰性証明などを求める出入国制限も各国で撤廃されて、まだまだ警戒は必要なものの、海外旅行を心置きなく楽しめる日々がようやく戻ってきた。「すぐにでも旅立ちたい」気持ちを抑え、猛暑の夏を避けて綿密な計画を立て、これから旅立つ方も少なくないはず。そんなあなたにおすすめしたい、ぜひ着けてほしいのが「旅時計」、つまり海外旅行のために生まれたワールドタイムウォッチやデュアルタイムウォッチだ。

そしてそんな「旅時計」にも、時計愛好家なら誰もが認める頂点モデル、ほかに比肩できるものがない“至高の逸品”がある。それがパテック フィリップの「ワールドタイム・ミニット・リピーター5531モデル」だ。その魅力はまず、文字盤中央を美しく彩る、同社が誇る職人が手掛けた、レマン湖上を航行する蒸気船を描いたクロワゾネ・エナメル(金線七宝)による細密画。もちろんワールドタイムウォッチとしての機能の素晴らしさも折り紙付き。細密画の外周にある、地球の自転と同じ24時間で文字盤を1周する24時間リングと都市名リングから、世界主要都市の現在時刻がひと目で同時に読み取れる。さらに文字盤中央の時針と分針が、あなたが今いる場所の現在時刻(ローカルタイム)を表示する。

中央の時分針が表示する時刻を希望するタイムゾーンに変更するのも驚くほど簡単だ。ケース右上のプッシュボタンを押すことで回転する都市名リング。その中に書かれた都市名の中から希望するタイムゾーンのものを選び、必要な回数だけプッシュボタンを押して都市名リングを動かし、希望する都市名を12時位置に移動させるだけ。その動きに24時間リングも時針も連動して動くから、それ以上の操作は必要ない。

1930年代にジュネーブの時計師ルイ・コティエとパテック フィリップが生み出した「ワールドタイム」モデルに始まり、2000年発表の「ワールドタイム 5110モデル」で完成されたこの機能の素晴らしさは、時計好きのあなたならよくご存知なはず。ただこの時計はもうひとつ、名門パテック フィリップでしか成し得ない素晴らしい機能、芸術的なメカニズムを備えている。それが中央の時分針が表示しているローカルタイムを、時計の内部に組み込まれたハンマーがゴングを叩いて生み出す、教会の鐘の音を彷彿させる美しい音で知らせるミニット・リピーター機能だ。

ワールドタイムとミニット・リピーター。そして最高峰の職人が手掛けたクロワゾネ・エナメルによる細密画。パテック フィリップが誇るふたつの究極のメカニズムと究極のハンドクラフト。この3つが融合したこの時計こそ、誰もが認める唯一無二の“至高の旅時計”。もしいま、あなたがこの時計を手にしたら、どんな旅に出る?

搭載ムーブメント「キャリバーR27HU」は、シースルーのケースバックからいつでも眺めることができる。

ケース左側にはミニット・リピーター機構を作動させるスライドレバーが、ケース右上にはワールドタイムの操作ボタンがある。

ふたつの究極のメカニズム、
そして、希少なハンドクラフトが融合した唯一無二、
至高のトラベラーズ・コンプリケーション

パテック フィリップ
ミニット・リピーター,ワールドタイム5531モデル

自動巻き、18KWGケース、ケース径40.2㎜、ケース厚11.49㎜、アリゲーターストラップ、サファイヤクリスタル・バックと通常のケースバックが共に付属、非防水(湿気、埃のみ対処)、受注生産、時価

Text:Yasuhito Shibuya

2023年9月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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