The Watches with Graphic Art
グラフィックアートで楽しむミニマムな時計の美学
多くの時計ブランドを輩出するスイスはデザイン大国だ。1950年代のスイスはグラフィックデザインの急先鋒で、グリッドの利用や左右非対称のレイアウトでデザイン界をリードしてきた。だから、腕時計にはいくら見ていても飽きない、デザインの魅力があるのかもしれない。そんなグラフィカルなデザインと組み合わせた最新の時計をご紹介する。
PATEK PHILIPPE
クロノグラフ Ref.5170P
クラシックな2カウンタークロノグラフに初のプラチナケースモデルが登場。ブラックからブルーへと変化するグラデーションのダイヤルと、バゲットカットのダイヤモンドインデックスの美しいコントラストは見応えも十分。モチーフとなったのはオークションでも人気な1940〜50年代のクロノグラフであるが、ムーブメントにはコラムホイール式で水平クラッチによる動力伝達機構など、最新の自社開発クロノグラフムーブメントが搭載される。手巻き。PTケース。ケース径39.4㎜。1134万円。アワーグラス銀座店 問03-5537-7888
HUBLOT
アエロ・フュージョン クロノグラフ オーリンスキー ブルーセラミック(上)
フランス人現代アーティストのリチャード・オーリンスキー氏とのコラボシリーズから登場したブルーセラミックモデル。12面に加工されたベゼルから、プッシュボタンに至るまで、美しいファセット加工を施したマットな風合いのブルーセラミックはウブロならでは。クロノグラフのオープンダイヤルの表情と相まって、他にはないアーティスティックな1本に仕上がっている。世界限定200本。自動巻き。ブルーセラミックケース。ケース径45mm。216万円。ウブロ問03-5635-705
PANERAI
ルミノール マリーナ ロゴ 3デイズ アッチャイオ-44mm(下)
文字盤に「OPロゴ」を配したスモールセコンド付きのルミノール マリーナが、新型キャリバーP.6000を搭載して登場した。「OPロゴ」とは、以前は謎の海軍用時計であったパネライが民間向けに販売を開始した時代のデザインであり、愛好家から絶大な人気を誇るディテール。ブルーのOPロゴのほかに、ホワイトのOPロゴ仕様のモデルもある。新型キャリバーでパワーリザーブは72時間へとアップデート。手巻き。SSケース。ケース径44㎜。60万4800円。オフィチーネ パネライ 問0120-18-7110
AUDEMARS PIGUET
ロイヤル オーク クロノグラフ
ロイヤル オークのクロノグラフが誕生から20周年を迎え、デザインをアップデート。3時位置と9時位置の積算計を大型化、6時位置のスモールセコンドを小型化して、計測時間を読み取りやすくすることで、よりアクティブな印象へと仕上げた。この意匠は1930〜60年代の同社のクロノグラフからインスパイアされたもの。均整のとれた八角ベゼルのデザインが、いっそう引き締まった顔つきとなった。50m防水。自動巻き。18KYGケース。ケース径41㎜。696万6000円。オーデマ ピゲ ジャパン 問03-6830-0000
OMEGA
スピードマスター プロフェッショナル東京 2020 リミテッド エディションズ(上)
東京 2020 オリンピックでオフィシャルタイムキーパーを務めるオメガから、オリンピックリングのカラーをイメージした開催国限定モデルが登場。ムーンウォッチとして知られるスピードマスター プロフェッショナルをベースに、レッドのアルミニウム製ベゼルリングでオリンピックテイストをプラス。レッドのほかブルー、ブラック、グリーンも用意される。ケースバックには東京 2020のエンブレムを刻印。日本限定2020本。手巻き。SSケース。ケース径42㎜。68万400円。オメガお客様センター 問03-5952-4400
BREGUET
クラシック トゥールビヨン エクストラ-フラット オートマティック 5367(下)
リーズ初のグラン・フー・エナメルを採用し、トゥールビヨンキャリッジがオフセットされたダイヤルが個性的。ホワイトのしっとりとしたエナメルダイヤルが、トゥールビヨンをはじめブラックのブレゲ数字やブルースティール針を際立たせている。ケースの外周を回転するペリフェラルローターを採用したムーブメントは、厚みがわずか3ミリに抑えられ、極薄のトゥールビヨンウォッチとなった。自動巻き。18KRGケース。ケース径41㎜。1724万7600円。ブレゲ 問03-6254-7211
IWC
IWC トリビュート・トゥ・パルウェーバー“150イヤーズ”
手がけたデジタル式のポケットウォッチを腕時計として再現。ポケットウォッチ時代と同様に回転ディスクで時と分を示し、その下にスモールセコンドを配した。それでいてブルーラッカー仕上げの艶のあるダイヤルや、ワイヤーループ状のラグで、モダンかつ個性的なスタイルに仕上げられている。このデジタル表示を実現のため、専用の輪列と香箱を備える自社製造の新型の手巻き式キャリバー94200が搭載される。手巻き。SSケース。ケース径45mm。270万円。IWC問0120-05-1868
ZENITH
デファイ クラシック(上)
近年オープンワークダイヤルの新作に力を入れるゼニスから、軽量チタンケースの3針モデルが登場。グラフィカルな星をかたどったオープンワークには、丁寧な面取りとサテン仕上げが施され、搭載される「エリート」ムーブメントの脱進機の一部に採用されるブルーのシリコンパーツも見ることができる。6時位置にはカットした日付表示を配置し、ダイヤルデザインの一部となっている。自動巻き。Tiケース。ケース径41㎜。75万6000円。ゼニス 問03-5524-6420
TAG HEUER
タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ GMT(下)
自社製ムーブメントのCal.ホイヤー02にGMT機能を追加。左右のインダイヤルはチャプターリングをシルバーにして、横2つ目はホイヤー02に採用されているようなデザインに仕上げた。赤い針は追加されたホームタイム用のGMT針で、その針が示す24時間表示のベゼルにはブラック、ブルーセラミックを採用する。実用性もアップし、クールなスタイリングで、とても使い勝手のいい時計となっている。自動巻き。SSケース。ケース径45㎜。70万2000円。LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー 問03-5635-7054
JUNGHANS
マイスター クロノスコープ テラッセンバウ(上)
1917〜18年にシュランベルクで建築されたユンハンスのテラス式工場の100周年を記念したモデル。ストラップのパターンはテラス建物のグリーンのタイル模様をモチーフとし、ケースバックには建物のレリーフが刻まれる。ドーム型のガラスや薄いケースはマイスター クロノスコープの独特なスタイルで、ムーブメントにはJ880.1を搭載。建築的な機能美が詰まった時計だ。世界限定1000本。自動巻き。SSケース。ケース径40.7㎜。31万8600円。ユーロパッション 問03-5295-0411
GIRARD-PERREGAUX
ロレアート 42㎜ セラミック(下)
ジラール・ぺルゴ創業225周年を機に基幹コレクションとなったロレアートから、ケースからブレスレットまでブラックセラミックをまとった精悍なモデルがお目見え。スポーティウォッチを掲げるロレアートにとって、軽量かつ傷つきにくいセラミック素材は好相性でデザイン性も抜群。加工の難しいセラミックをサテン仕上げとポリッシュ仕上げで丁寧に行うことでセラミックにブラックの深みをもたらしている。自動巻き。セラミックケース&ブレスレット。ケース径42㎜。196万5 6 0 0円。ソーウインド ジャパン 問03-5211-1791
CUERVO Y SOBRINOS
プロミネンテ ソロ テンポ トコロロ レッド(上)
キューバのハバナを創業地とする同社から、キューバの国鳥「トコロロ」の名を冠する限定モデルが登場。トコロロはコロンブスから「人間の目が見た最も美しい鳥」と称され、キューバ国旗と同じ青、赤、白の色彩を持つ鳥。限定モデルはその美しい色彩にならって鮮やかな赤いダイヤルを採用。ダイヤル中央には赤いマザーオブパールを配し、アラビア数字インデックスを大胆にレイアウトした。日本限定50本。自動巻き。SSケース。ケースサイズ52×12㎜。46万4400円。ムラキ 問03 -3273-0321
BELL & ROSS BR V1-92
レーシングバード(下)
低空飛行の高速レース、リノ・エアレースからインスピレーションを得たモデルで、まずそのレースに出場させる飛行機をデザインしてから時計を作るという、なんとも変わったアプローチで作られた新作。それによって同社には珍しいホワイト×ブルーの爽やかなWトーンのデザインに仕上がった。ラッカーを重ねたダイヤルは美しい光沢を放ち、前後がわかる日付表示の小窓もスタイリッシュ。秒針の末端には飛行機が象られている。世界限定999本。自動巻き。SSケース。ケース径38.5㎜。32万4000円。オールブルー 問03-5977-7759
Photographs:Noboru Kurimura
Artwork:Jo Yunbomu
2018年9月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)