AFRICAN ART × MODERN WATCHES 躍動するアフリカと 新時代の時計たち

現代のヒト、すなわちホモ・サピエンスはアフリカ中央のボツワナ周辺で約20年万年前に出現したと言われる。そこから人類は世界各地へと広がっていったという説が現在は有力だ。実は最初の時計が生まれたのもアフリカだった。紀元前4000年~3000年にエジプトで太陽の日周運動を利用した日時計が考案され、その後同じくエジプトで水時計も発明されている。時を経て、現代では時計は人類の叡智が結集され、洗練度をますます高めている。そんなモダンウォツチの新作を、人類の記憶が詰まったアフリカ美術とともにご紹介しよう。

ピュアなアフリカ美術と最高峰の工芸美からの受ける感動は、人類共通のDNAだ

PATEK PHILIPPE
ワールドタイム・フライバック・クロノグラフ 5935A

ワールドタイム機構と自動巻きフライバック・クロノグラフというパテック フィリップを象徴する2つの機構を組み合わせたコンプリケーション。注目は近年ではとてもレアになっているステンレスケースバージョンということ。ダaイヤルには2022年の新作によく見られたサーモンピンクカラーのローズゴールドめっきのオパーリンを採用。中央のスポーティな印象を高めている市松文様(カーボンモチーフ)は、2019年に完成した新工場を祝って発表された限定モデルと同じ意匠だ。自動巻き。SSケース。ケース径41mm。851万円。㉄パテック フィリップ ジャパン。インフォメーションセンター☎03-3255-8109

ダイヤルデザインの個性は部族ごとに異なるマスクの多様性と共通し、イマジネーションを掻き立てる

VACHERON CONSTANTIN
ヒストリーク・222

左/メゾンの創業222周年を記念し1977年に限定発売された「222」を現代的に復刻。ラグジュアリースポーツウォッチの源流の一つで、現行の人気モデルのオーヴァーシーズの原型になったモデルとされている。ベゼルの24の刻みやブレスレットの六角形のリンクのデザインなど忠実に再現した。ケースバックは、オリジナルとは異なるシースルー仕様で、そこからは最新の極薄のCal.2455/2を見ることができる。今回は限定ではなくレギュラーモデルというのもうれしい。自動巻き。18KYGケース&ブレスレット。ケース径37mm。976万8000円。㉄ヴァシュロン・コンスタンタン☎0120-63-1755

A. LANGE & SÖHNE
グランド・ランゲ1

右/通常のランゲ1よりやや大振りなグランド・ランゲ1を薄型化するために外装を一新。搭載するムーブメントはそのままながら、アウトサイズデイトのフレームや植字インデックスの厚みを削り、表裏のサファイアクリスタルを薄くしたことでスリム化を追求。そうすることでケースの厚みは8.8mmから8.2mmの薄さとなり、袖口も邪魔にならない装着感を実現した。針の高さは限りなく下げられているのでドレス感が増す一方で、時分ダイヤルは段差を付けたため高い視認性を確保している。マットなグレーダイヤルは新色。手巻き。18KPGケース。ケース径41mm。726万円。㉄A.ランゲ&ゾーネ☎0120-23-1845

時計の緻密さとマコンデ彫刻といったアフリカアートのダイナミックさには人類に共通する美意識が宿る

HUBLOT
ビッグ・バン ウニコ ブロンズ

左/素材開発の専用ラボを擁するウブロは、個性派ケースの先駆者だ。経年変化を楽しめるブロンズ素材を採用したケースは最近では珍しくないが、ウブロではひと味違い、最初から風格のあるデザインに仕上げた。ブラウンのエイジング加工を施したストラップとの組み合わせで、新品の気恥ずかしさもなく、最初からアクティブに使えそうだ。ムーブメントはシースルー仕様の文字盤側にコラムホイールを見ることができるウニコ2を搭載する。日本限定77本。自動巻き。ブロンズケース。ケース径44mm。322万3000円。㉄LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ウブロ☎03-5635-7055

PANERAI
ラジオミール オリジネ

右/“オリジネ”がイタリア語で原点を意味する通り、ラジオミールはイタリア海軍に初めて時計を供給したパネライの原点として知られる。このモデルは1940年代のラジオミールと同様に、粒子の荒いアルミニウム製の文字盤を採用し、時間の経過で色が変化する風合いを表現した。独特のデザインである下側のプレートに夜光塗料を塗布したサンドイッチ構造もパネライの個性を感じさせる。さらにケースやステッチを効かせたストラップにはエイジド加工が施され、ビンテージの雰囲気を高めている。手巻き。SSケース。ケース径45mm。93万9400円。㉄オフィチーネ パネライ☎0120-18-7110

アフリカのプリミティブアートが貴族的な文化の象徴である時計に新たな刺激と豊かなイマジネーションを与える

BREGUET
クラシック 7337

左/クラシック 7337はオリジナルのブレゲ懐中時計のNo.3833のデザインがベースになっている。左右の小窓から日・曜日を表示する、これまで何度かリニューアルを果たしてきたブレゲの人気モデルだ。新バージョンでは、日・曜日のディスクをブルーに変更し、これまでギョーシェの種類を使い分けてきた秒ダイヤルと時分ダイヤルはクルー・ド・パリ装飾に統一するなど、すっきりとしたデザインに仕上がった。ムーブメントにはドレスウォッチにふさわしい薄型自動巻きキャリバーが収まっている。自動巻き。18KRGケース。ケース径39mm。653万4000円。㉄ブレゲ☎03-6254-7211

OMEGA
デ・ヴィル・プレステージ パワーリザーブ&スモールセコンド

右/オメガのドレスラインであるデ・ヴィルが、最新キャリバーに置き換わり、超耐磁性を備えるマスタークロノメーター認定モデルへとアップグレード。ベゼルのゴールド素材もこれまでのレッドゴールドから、長期間、色褪せることがない独自のセドナゴールドへとスイッチを果たした。コンビケースで、初出のリネンカラーのダイヤルにボックスタイプの風防がクラシカルなドレスウォッチを演出する。6時位置には4つのパーツに区切られた55時間のパワーリザーブ表示を備える。自動巻き。SS×セドナゴールドケース。ケース径41mm。113万3000円。㉄オメガお客様センター☎03-5952-4400

アフリカ楽器の独特なリズムと規則的な運針のリズムがハーモニーを生み出す

IWC
ポートフィノ・クロノグラフ 39 “ローレウス・スポーツ・フォー・グッド”

左/サンレイ加工のブルーダイヤルが印象的な毎年恒例の“ローレウス”コラボモデルは、2022年で16弾目。縦二つ目のクロノグラフのインダイヤルを備え、ロジウムめっきの針やバーインデックスがシャープさを演出。ドレッシーなデザインだが、付属するカーフストラップで適度にカジュアルダウンされて、こなれた大人の余裕を醸し出す。ケースバックには絵画コンテストで最優秀賞に輝いた、対等に重なる手によって友愛を表したモチーフが刻まれる。1000本限定。自動巻き。SSケース。ケース径39mm。85万8000円。㉄IWC☎0120-05-1868

FRANCK MULLER
ヴァンガード クレイジー アワーズ

右/非連続的な時刻表示を採用した「クレイジー アワーズ」は、時針が一時間ごとにジャンプすることで正確な時刻を表示するシリーズ。針が瞬時に動くジャンピングアワーという機構を独自に発展させたものだ。この機構を従来のトノウ カーベックスよりボリュームを持たせてふっくらとさせたヴァンガードケースに搭載。ダイヤルはヴァンガードのためにデザインされた直線的かつ立体的なインデックスを採用し、ダイヤルの存在感を引き立てている。自動巻き。18KPGケース。ケース幅53.7×44mm。440万円。㉄フランク ミュラー ウォッチランド東京 ☎03-3549-1949

アフリカらしいカラフルな楽器がシャープなウォッチデザインを際立たす

ZENITH
デファイ スカイライン スケルトン

左/エル・プリメロを搭載した3針のスポーツウォッチに位置付けられるデファイ スカイライン。2023年の新作にオープンワークダイヤル仕様が追加。ブルーにコーティングされたムーブメントにブーメラン形のブリッジを四隅に配置して象徴的なデザインに仕上げた。従来のクローズドダイヤルと比べ、今作では10秒で1周する高速の針を備えるインダイヤルを9時位置から6時位置へと変更して、デイト表示は省かれる。デザイン性を高めながら、アワーマーカーや針には夜光塗料を塗布し、視認性を確保した。自動巻き。SSケース。ケース径41mm。140万8000円。㉄LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパンゼニス ☎03-3575-5861

TAG HEUER
タグ・ホイヤー カレラクロノグラフ 60周年 アニバーサリーエディション

中央/1963年に誕生した伝説的なクロノグラフの60周年の記念モデル。ベースとなったのは1960年代後半に発売された2447SNというモデルで、シルバーダイヤルにブラックのサブダイヤルを備える、いわゆる“パンダダイヤル”を忠実に再現した。センターのクロノグラフ秒針はブラックラッカーを施してシックにまとめ、ボックスタイプのサファイアクリスタル風防でビンテージ感も演出する。ムーブメントには最新の80時間パワーリザーブを誇るホイヤー02を搭載。世界限定600本。自動巻き。SSケース。ケース径39mm。89万1000円。㉄LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー ☎03-5635-7054

GIRARD-PERREGAUX
ヴィンテージ 1945 グレー

右/レクタンギュラーと呼ばれる長方形のケースを持ちながら、腕に沿って湾曲したフォルムが特徴の「ヴィンテージ 1945」。やや時期は異なるが、1920~30年代を流行したアールデコが色濃く反映されている。ダイヤルも曲面となっており、インダイヤルが3時位置と9時位置では段差が異なる。スモールセコンドの9時位置のレイアウト、縦に伸びたローマンインデックス、白ダイヤルに映えるブルースティール針など、クラシカルな魅力がぎっしりと詰まっている。グレーストラップの日本限定モデル。200本限定。自動巻き。SSケース。ケース幅33.30×3
2.46mm。172万7000円。㉄ソーウインド ジャパン☎03-5211-1791

アーバンライフにふさわしいウォッチは世界一お洒落といわれる〝サプール〟たちにも似合う

EDOX
デルフィン メカノ オートマティック

右上/1961年に画期的なリューズ機構により防水時計で名を上げたデルフィンが、スケルトンダイヤルとなって進化。ダイヤルはエドックスのエンブレムである砂時計をモチーフとしたカットワークを備え、ムーブメントの動きがつぶさに見られるモダンなデザインに。このカットワークがあることで、ダイヤルの視認性を確保する。さらにベゼルと5連ブレスレットの一部にブラックPVD加工を施して、品のあるスタイルを生み出す都会的なコンビ仕様に仕上げた。自動巻き。SSケース。ケース径43mm。31万3500円。㉄GMインターナショナル ☎03-5828-9080

MAURICE LACROIX
アイコン オートマティック スケルトン 39mm

左/ケースとメタルブレスレット一体型スタイルのブームで、一気に人気モデルとなった“アイコン”。ダイヤルからムーブメントの動きが透けて見える遊び心あるシースルーダイヤル仕様は、43mm、44mm、45mmのサイズ展開であったが、新たに39mmを追加。それに伴い、ムーブメントは名門サプライヤー、セリタ社とのコラボレーションにより製作されたスケルトン仕様のキャリバーML115を搭載。ムーブメントに丁寧に施された仕上げも見どころだ。自動巻き。SSケース。ケース径39mm。44万8800円。㉄DKSHマーケットエクスパンションサービスジャパン (Japan mi
ssing) cg.csg1@dksh.com

CARL F. BUCHERER
マネロ フライバック 40mm

右下/これまでケース径43mmで展開してきたマネロ フライバックに40mmサイズを追加。スタイリッシュなデザインはそのままに、パワーリザーブを42時間から56時間にするなどスペックをアップグレードさせながら、独特な色彩表現もプラス。スイスの田園風景をイメージした今作は、メインダイヤルのシルバーにサブにはグリーンを配し、強烈なコントラストを生み出した。ストラップはそのグリーンとマッチしたサステイナブルのテキスタイルを採用。自動巻き。SSケース。ケース径40mm。107万8000円。㉄スイスプライムブランズ ☎03-6226-4650

アフリカのテキスタイルデザインにフィットするクリーンなメカニカルウォッチ

ZTAGE
ハイブリッド オリジナル アークティック

右/ベゼルとケースバックの2ピースを上下から、特殊形状のラグを両側から挿入して構成される複雑な形状が特徴となっているステイジ。北極点を中心に北半球が描かれたワールドタイムモデルは、セラミックベゼルやストラップなどをホワイトカラーで統一し、24都市の時刻を表示する。大陸部分にはスーパールミノバが塗布され、暗闇でも薄っすらと浮かび上がるようになっている。ムーブメントはソプロード社製をベースとした信頼性の高いキャリバーを搭載する。300本限定。自動巻き。SSケース。ケース径43mm。59万4000円。㉄ユーロパッション ☎03-5295-0411

ZTAGE
ハイブリッド オリジナル コンプリート カレンダー

左/ステイジは頭文字を「S」からアルファベットの最後の文字である「Z」に変更して、人生の局面をこの時計とともに最後まで歩むという意味を込めて2017年に誕生した新興ブランド。今作はシースルーダイヤルにすることで、ディスクの動きを露出した月&曜日表示、4層のプリントを施したムーンフェイズ、ダイヤル外周にポインターデイトを備えるカレンダーウォッチ。ドレス向きのカレンダー時計をメタルブレスレットと合わせることでアクティブな印象に仕上げた。自動巻き。SSケース。ケース径43mm。85万8000円。㉄ユーロパッション ☎03-5295-0411

Photograph:Takeshi Hoshi
Text:Katsumi Takahashi
撮影協力:BOGOLANMarket ☎03-6270-9465

2023年3月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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