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CARTIER ブレスレットの質感を高め、時代の空気を纏うアイコンウォッチ

アフリカ人は大のお洒落好きで、着飾ることに努力を惜しまない。お祝い事や祭りがあると、どの民族もこぞって華やかで個性豊かな装飾品を身に纏い、登場する。着飾ることは大切なコミュニケーションのひとつとなっているのだ。

それは民族衣装だけでなく、洋服でも同様だ。それを代表するのが、赤道直下に位置するコンゴ共和国のお洒落集団「サプール」。週末になると、ヨーロッパを中心とするハイブランドの服を身に纏い、ストリートを練り歩き、お洒落のアピール合戦が行われる。月収3万円ほどをほとんど服に費やすほどの酔狂だが、立ち振る舞いや言動は優雅でなくてはならず、なにより紳士でないとサプールとして認められない。コンゴ共和国は1960年の独立まで仏領で、サプールはフランスのエレガンスの名残りといえるだろう。

宗主国だったフランスではどうだったか。パリには有名な仕立服店や靴店、ホテルなどが立ち並び、国際的な有名人たちが出入りするラ・ぺ通りがあった。カルティエはその一角に店を出し、高級な服にふさわしい宝飾品を提供した。当時は店に立ち寄る有名人を見るために人だかりができたという。お洒落を愛するということは、フランスでもコンゴでも変わらぬ人の生き様なのだ。

そんなフランスの紳士たちを虜にしたのは、「タンク」ウォッチだった。「タンク」はアール・デコスタイルを旗印に正方形の「タンク フランセーズ」をはじめ、多彩なケースデザインを生み出してきた。しかしディテールにおいては厳格だ。白と黒の明快な配色の分目盛り、直線を強調するブルーの剣型針、ダイヤルに沿い傾斜したローマンインデックス、リューズに配されたサファイアカボションが共通するデザイン要素となっている。

そんなタンクの系譜を継ぐ「タンク フランセーズ」がアップデートを果たし、より洗練され、デザイン性を高めた。ケースとブレスレットの仕上げはほぼサテン仕上げに変更され、リューズがケースと一体化して直線が際立つデザインとなった。ダイヤルはシャンパンカラーにサンレイ仕上げを施し、インデックスはプリントではなくダイヤルにアプライドされている。ディテールに「タンク」らしさを残しつつ、ブレスレットの質感を高めて「タンク フランセーズ」らしい洗練されたモダンスタイルに進化させた。

お洒落を極めるのは、時代や場所に関係なく、紳士になるための第一歩だ。アフリカのサプールたちもファッションの次はストリートで「タンク フランセーズ」を見せ合う時が来るかもしれない。


タンク フランセーズ
「タンク」コレクションのなかで唯一のブレスレットのみの仕様。上下のエンドリンクは1つのパーツだけに変更され、ケースとの一体感が増した。ケースの角を斜めにカットするのも“フランセーズ”の特徴でブレスレットにかけての造形は戦車のキャタピラーを連想させる。18KYGケース&ブレスレット。クオーツ。ケースサイズ32×27mm。347万1600円。㉄カルティエ カスタマー サービスセンター ☎0120-301-757

Photograph:Takeshi Hoshi

2023年3月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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