Cover story 幸運を運ぶスネークモチーフ

ヨーロッパの人々にとって、蛇はアダムとイヴに知恵の林檎を授けて楽園に住めなくした悪魔的な存在であり、また一方では、健康や永遠を意味する縁起のよいモチーフであったりする。

古来、ジュエリーの意匠に蛇が使われることが多かったのは、蛇がラッキーモチーフだと信じられていたからだ。とぐろを巻いた蛇、自分の尾をくわえた蛇は、いつまでも終わりのないこと、すなわち永遠を表すシンボル。

杖に巻きついた蛇は、ギリシャ神話に登場する神医アスクレピオスにちなみ「アスクレピオスの杖」と呼ばれ、医術の象徴として今も広く用いられている。

また18世紀にエジプシャンスタイルが流行したときは、ブシュロンもクレオパトラ風のグラマラスな蛇をデザインしているし、19世紀には大英帝国のヴィクトリア女王も、蛇が巻きつく婚約指輪を受け取っている。蛇はけっして嫌われ者ではないのだ。

ブシュロンの「セルパンボエム」も、そうした幸運を呼ぶジュエリーとして愛され続けてきたロングセラー。「セルパン」とはフランス語で蛇を意味する。ウォッチ「セルパンボエム」は、その鱗状のゴールドやダイヤモンドパヴェで飾った蛇の頭のモチーフから、すぐに「セルパンボエム」のファミリーであることがわかる。

リュウズはケースの背面に隠されて全体に美しいバランスを保ち、50年代風のゴールドの仕上げは、どこかヴィンテージ感感をただよわせる。イヤリング、リング、ペンダント、ブレスレットなど、さまざまなアイテムが揃う「セルパンンボエム」のファンにとっては、必ず持っていたい名作ウォッチだ。

Boucheron

セルパンボエム

ホワイトゴールドバージョンも揃うウォッチ。人気のジュエリーコレクション「セルパンボエム」から派生し、2012年に登場した待望のアイテムだ。時刻調整用のキー付き。クォーツ。ケース径18mm。YG。ダイヤモンド。ホワイトMOPダイヤル。問/ブシュロン カスタマーサービス 問03-5537-2203

Photo by Hisashi Wadano
Sentence by Keiko Homma

2014年11月『HORLOGERIE』本誌より引用(転載)

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