匠の技と、黄金の迫力。 日本の美意識がここに極まる -G-SHOCK MR-G-

G-SHOCKのイメージカラーといえば、精悍なブラックか硬質なシルバー。しかし今回誕生したモデルは、ケースもブレスレットもゴールドだった。多彩に進化するG-SHOCKの懐の深さを感じさせる特別なモデルの誕生だ。現在のG-SHOCKは2つの方向で進化している。ひとつは広がり続ける海外市場に向けて、G-SHOCK本来のゴツくて、タフなモデルを作るという戦略。これはカシオが従来から進めてきた得意技であり、世界中にファンを獲得中である。

もう一方がプレミアム化路線。これはかつてG-SHOCKを愛し、現在は高級時計を使用している目の肥えた大人のユーザーに向けた戦略。G-SHOCKのアイデンティティである耐衝撃性能は維持しつつ、高性能なメカニズムと高級感あふれる外装デザインを組み合わせることで、新しいラグジュアリーウォッチとしての価値を提案しているのだ。今回のG-SHOCKはもちろん後者。甲冑や銅器の表面加工に用いる「鎚起(ついき)」という仕上げ方法をベゼルやブレスレット駒に用いるシリーズの第二弾となる。

しかも今回はケースとブレスレットには、チタン素材の表面にゴールドIP処理を施しており、艶やかな風格をも手に入れた。そもそも日本には金山があり、古くから金細工や金を使った工芸品が作られている。つまり“黄金に輝くケース”というのも、鎚起と同じように日本の美意識の表現方法なのである。一昔前までは、黄金のG-SHOCKを作ることなど、カシオは考えてもいなかっただろう。しかしG-SHOCKを扱う高級時計店からは、かなり前から“黄金のG-SHOCKを作って欲しい”という声が挙がっていた。

高級時計のプロから見てもG-SHOCKという時計は、存在自体が特別であり、熱心なファンも多いので、贅沢を極めたG-SHOCKを好む人も少なくないと予見していたのだ。さらに昨年開催された世界最大の時計と宝飾の見本市「バーゼルワールド」では、ケースもブレスレットにも本物の金を使ったG-SHOCKのコンセプトモデルを発表したのだが、これがカシオも驚くほどの大好評を得た。それも今回の黄金モデルと同じ系譜ということになるだろう。

G-SHOCKと聞けば、誰もが黒い樹脂で覆われた武骨でタフなデジタルウォッチを思い出すだろう。もちろんそういうパブリックイメージは大切だが、もはやG-SHOCKの表現力やカシオの技術力、そしてファンの熱狂はそれを凌駕する速度で拡大している。黄金の国ジパングらしいゴールドケースを熟練職人の手作業で装飾し、その内部には、GPSハイブリッド電波ソーラーという高精度技術を詰め込んだG-SHOCKは、まさに過去と現在の日本を結ぶ象徴的な時計である。

金属板を鎚で打ち出すことで形を作るのが、「鎚起(ついき)」という伝統技法。京都生まれの鎚起師、浅野美芳氏を起用。浅野家は国宝級の金工美術品の修復や再現などを行っている名門だ。

ベゼルとブレスレット駒に鎚起仕上げを施したが、華やかなゴールドパーツに柔らかな凹凸が作ることで柔らかな影がうまれ、派手さを抑える効果がある。

ケースサイドにはMR-G誕生20周年を祝うプレートが入る。

G-SHOCK
MRG-G1000HG-9AJR

日本の伝統色である“黄金”と伝統技法である“鎚起”、そして最新の高精度機構である「GPSハイブリッド電波ソーラー」を組み合わせたという前代未聞のラグジュアリースポーツウォッチ。ケースバックには限定モデルを示すシリアルナンバーが入る。世界限定300本。クオーツ、Tiケース、ケース径49.8㎜。70万5600円

「現在こちらの製品の製造は終了しております。」

カシオ計算機 お客様相談室 Tel.03-5334-4869

Photographs_NOBORU KURIMURA.

2016年11月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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