HG TOPICS Vol.27

東南アジアのファブリックや、フランス人アーティストによるペーパークラフトで内装を飾った『パテック フィリップ・ウォッチアート・グランド・エグジビション』。

Event1 PATEK PHILIPPE

これまでにない規模となってシンガポールで開催されたメゾンの精髄に迫るエグジビション

コンプリケーションウォッチの開発はもちろんのこと、スイスに伝わる伝統工芸の保存と継承にも力を注ぐパテック フィリップ。その精華を広く公開する展覧会『パテック フィリップ・ウォッチアート・グランド・エグジビション』は、これまで世界4都市を巡回してきたが、今秋、過去最大規模のスケールに拡大され、シンガポールにて開催された。

折しもシンガポールは、英国人スタンフォード・ラッフルズの上陸から200周年を迎えたアニバーサリーイヤー。マリーナベイ・サンズ・シアターで16日間のみ開催されたこのエグジビションには、東南アジア諸国からつめかけた7万人近い時計愛好家たちが訪れ、会場は熱気に包まれた。

エグジビションは「現行コレクション」「グランド・コンプリケーション」「ムーブメント」など10のテーマからなる構成。中でも「ミュージアム」ルームには、ジュネーブのパテック フィリップ・ミュージアムから貸与された貴重なヒストリカルピースが綺羅星のように並ぶ。マルケトリ(木象嵌)、エナメル(七宝)、ギョーシェ彫り、エングレービングなどの技を駆使したスペシャルモデルを紹介する「希少なハンドクラフト」ルームもまた圧巻。

開催国にオマージュを捧げ、東南アジアらしいモチーフをあしらった逸品は、多くの人々の興味を誘い、職人たちの技のデモンストレーションには人垣ができたほどだ。またこのイベントのために製作されたミニット・リピーター機構が文字盤から見える「ミニット・リピーター・トゥールビヨン Ref.53 03」にも注目が集まった。

「高級時計づくりは芸術です。稀有な芸術が生み出す価値を多くの人と共有するために、このエグジビションはあるのです」と語るパテック フィリップ社長、ティエリー・スターン氏。このような催しがいつか日本でも開催されることを期待したい。
 

  • ミュージアムピースの白眉「キャリバー89」。開発に5年、製作に4年かかったという時計史に残る超複雑懐中時計。

1851年に英国のヴィクトリア女王に献上された、ブルーエナメルのペンダントウォッチ。

  • シンガポールで世界初公開されたグランド・コンプリケーションモデルの最新作「ミニット・リピーター・トゥールビヨン Ref.5303」。

パテック フィリップ社長、ティエリー・スターン氏のスピーチによって幕を開けた会場。現地の伝統舞踊なども披露され、ホスピタリティにあふれた催しとなった。

パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター 問03-3255-8109

Text:Keiko Homma

2019年11月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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