-2015年ラグビーワールドカップ 日本代表躍進のきっかけ- #ラグビー
ラグビーに於ける南アフリカというチームの存在は、可成り凄い!あの世界最強を誇るオールブラックスと唯一互角の戦いをしてきた歴史があり、結局2015年のラグビーワールドカップに於いても、優勝したオールブラックスを最も苦しめたのは南アフリカでした。過去2度のワールドカップ優勝を遂げていますが、第1回と2回は不出場(アパルトヘイト政策への制裁で対外試合を禁止されていた)なので、実質出場した第3回~7回迄の5大会中2度の優勝を成し遂げた超強豪チームです。
そして、何とワールドカップでの勝率は、その当時あのオールブラックスを凌ぐNo.1だったです。初出場した1995年の第3回ワールドカップでは初出場で初優勝。当時圧倒的な力を持ったオールブラックスを決勝で延長戦の上破ったのです。余りにも劇的な優勝だったので、その後“インビクタス”という題名で映画化されます。この映画を観ると、如何にラグビーというスポーツが南アフリカという国にとって重要な位置付けであることが分かり、日本にラグビーで負けたということがいかにショックだったことか…
南アフリカのラグビーの特徴は、兎に角デカいしパワフル。ラグビーワールドカップの場合、約2年前に対戦カードが決定するので、ベスト8を目標にする日本代表は初戦の南アフリカ戦をターゲットに2年近く準備してきたのです。2015年ラグビーワールドカップでの日本代表の躍進のきっかけを作ったのはやはり名将エディージョーンズです。過去に2度のワールドカップ優勝に携わり、日本人の血も引き継いだオーストラリア人。トップリーグのサントリーを率いて優勝させた監督でもあり、日本人の国民性と世界のラグビーを熟知する稀有な人材。
エディが先ずやったのは、負け癖がついた日本代表選手達のマインドセット。基本的な体格やパワーがモノを言い、無差別級の格闘技のような要素のあるラグビーという競技において、日本代表は過去のワールドカップで1勝しかしたことがなく、強豪国に対しては、前半は食い下がるものの、後半には自力の差で引き離され、負けても良い試合をすれば満足してしまうという歴史の繰り返しでした。このような状態の日本代表に対してエディは、ワールドカップベスト8、IRBランキング10位以内(世界ランキング)、初戦の南アフリカに勝利するという目標を掲げたのです。
当初は、それは無理だと選手を含め、ラグビーをかじったことのある人達は皆そう思っていました。ところが、次々にその目標を達成していくことになるのです。最終的にワールドカップベスト8は逃しましたが、グループリーグで3勝を上げ、3チームが1敗で並び、ゲームポイント差で惜しくも決勝トーナメントに進めないという結果になりました。因みにワールドカップ史上、3勝を上げながら決勝トーナメントに進出出来なかった唯一のチームがこの時の日本代表なのです。
馬鹿げていると思われた目標設定や理不尽と思えるハードな練習に対して、大きな不満を持っていた選手達も、やればやるほど結果に結び付くという現実にどんどん自信を深め、本気で優勝候補にでも勝つという強い気持ちを持つ集団に生まれ変わったのです。
to be continued
ライター:中路由人(なかじゆうと)