【Audi e-tron 50 quattro】アウディの魅力は、電動化でさらに増す

欧州自動車工業会の資料によれば、2021年にEU26カ国で販売された新車のうち、電気自動車の割合は9.1%に達したという。アウディも、2026年以降に発売する新型車はすべて電気自動車にすると発表している。電動化によって、アウディの魅力はどのように変わるのだろうか。

アウディの魅力をひとことで表現するならば、「精緻」ではないかと考える。まず外観は、緻密なラインと端正な曲面で構成される。インテリアもただ美しいだけでなく、スイッチやダイヤルがあるべき場所に配置されているから、理路整然とした印象だ。

メカニズムも同様で、たとえばアウディ独自の4駆システムであるクワトロは、4本のタイヤに精密にパワーを配分、まるでレールの上を走っているかのように正確なコーナリングを味わうことができる。

では、BEV(バッテリーに蓄えた電力だけで走る、純粋な電気自動車)であるAudi e-tron 50 quattroでは、そうしたアウディの魅力や個性をどのように表現しているか。

結論から書けば、アウディの魅力がさらに強調されている。ガソリンを爆発させ、ピストンを動かし、垂直方向の動きを回転運動に変換してタイヤに伝えるエンジン車は、その過程が煩雑だ。

そこが魅力でもあるけれど、電流が流れた瞬間に電光石火で反応するBEVのモーターは、ドライバーの意思をより正確に、素早く伝えてくれる。前出のクワトロもモーター駆動になることでさらに精度が上がっているように感じる。

ロジカルなクルマ作りを極めることでエモーショナルになる、というアウディの個性が、BEVになることでさらに強まった。このクルマの魅力は、数学者たちを虜にする数式の美しさに通じるのではないだろうか。

ここに紹介するオーセンティックなSUVのスタイルを採るAudi e-tronのほかに、SUVにスタイリッシュなクーペのテイストを加えたAudi e-tron Sportbackもラインアップする。

Audi e-tronは3グレードで展開。ベースグレードと、より装備の充実した「アドバンス」、スポーティな「Sライン」をラインナップ。いずれもエアサスペンションを標準装備する。

満充電の状態での航続可能距離は316km(WLTCモード)。充電は日本のCHAdeMO方式に対応していることから、高速道路のサービスエリアやショッピングモールに設置される急速充電器を利用できる。

センターコンソールがドライバー側に傾けられているため、運転に集中できるインテリア。液晶のメーターパネルには、カーナビの地図や充電に関する情報などがきめ細やかに表示される。

電気モーターは、フロントとリアに1基ずつ、計2基搭載される。静かで滑らか、しかも力強い加速は、エンジン車とは明らかに異なる。高性能車の指標となる0-100km/h加速は、6.8秒と速い。

Audi e-tron 50 quattro
値段 ¥9,350,000~
全長×全幅×全高 4900×1935×1630mm
ホイールベース 2930mm
車重 2400kg
駆動方式 4輪駆動
システム最高出力 230kW
システム最大トルク 540Nm

Information Contact
Audiコミュニケーションセンター
TEL:0120-598106
営業時間:9:00〜19:00

Text:Takeshi Sato

2022年3月『HORLOGERIE』本誌より引用(転載)

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