PATEK PHILIPPE 多くの女性たちを魅了するメカニカルウォッチ

ジュネーブのパテック フィリップ・ミュージアムは、1839年の創業から現代に至る同社の歴史を網羅する、膨大なタイムピースを所蔵している。現在では腕時計は紳士に許された数少ないアクセサリーのひとつだが、ミュージアムにはパテック フィリップ以外の装身具を兼ねた歴史的な価値のある婦人向けのものも多く見られる。

婦人用胴着の裾のベルトから腰にぶら下げるようなデザインで、鍵や飴入れ、小物などとともに一緒に留められるシャトレーヌ・ウォッチ(腰鎖付時計)もそのひとつ。そしてそれらの時計をいち早く腕に巻きつけたのは婦人たちだった。パテック フィリップは1868年に懐中時計を改造したものではなく、手首に着用する目的で作られたスイス最初の腕時計を発表しており、ミュージアムにも所蔵されている。

その他にも、ヴィクトリア女王をはじめ、オーストリア=ハンガリー帝国の皇妃エリーザベトなど歴史に名を刻む女性たちに愛されてきたという。しかし、装身具としての意味合いが強く、女性たちがパテック フィリップのメカニカルウォッチの素晴らしさに気が付くのはまだずっと先のことである。

転機となったのは、パテック フィリップが女性向けの腕時計に力をいれることを鮮明に打ち出した2009年の「レディス・ファースト」コレクションからだ。最新のクロノグラフキャリバー、CH 29-535 PSをまず最初にレディスモデルに搭載したのだ。その後、レディス・ファースト・シリーズは、ミニット・リピーター、スプリットセコンド・クロノグラフ、パーペチュアル・カレンダーを次々とコンプリケーテッド・ウォッチを発表し、本格志向のメカニカルウォッチを求める現代的な女性たちの期待に応えたのである。

そして2018年に登場したのが新型「Twenty~4」だった。これまではアール・デコ様式の幾何学デザインを生かしたレクタンギュラーケースでクオーツムーブメントを採用していたが、今作はラウンド型ケースに機械式ムーブメントを搭載。フェミニンな丸みのあるケースデザインでありながら、本格派も満足するメカニカルウォッチへと進化を果たした。

ベゼルを飾るのは《ダンテ―ル》(レース・スタイル)と呼ばれる技術でダイヤモンドを2重にセッティングにすることで輝きを倍増される。あしらわれているダイヤモンドもピュア・トップウェッセルトンと呼ばれる厳選されたものを採用。また山東絹(つむぎ風のシルク地)の風合いを思わせるサテン仕上げのダイヤルも美しい。

装身具としての時計の時代を経て、現代のライフスタイルに合わせて女性のための本格的腕時計として誕生した「Twenty~4」。装飾品に劣らない優美さと機能性を備えた腕時計は女性たちの力強いパートナーになってくれるはずだ。


Twenty~4 オートマチック
ダイヤモンドは160石(計0.77カラット)のピュア・トップウェッセルトン・クラスを採用。日付表示とセンター針を備える機械式ムーブメントを搭載。自動巻き。18KRGケース。ケース径36mm。684万2000円。㉄パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター ☎03-3255-8109

Photograph:Takeshi Hoshi

2023年3月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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