【藤崎聡子の一品×逸品ワイン】ワインのギフトは 贈る側の細やかな センスに表れる

焼き餃子:ただし、タレは塩、レモンで。醤油で仕上げると泡モノの繊細さが弱まってしまう。酢は酸がダイレクトに来るので泡モノが苦くなる恐れが。

 
お相手を知れば知るほど悩むのがギフト。好みを知った上でならばどうすべきか。今回はワインを贈るロジックを考えてみたい。納得していただけるかも!?

ギフトにワインを贈りたい、と思った時最初に考えることは「予算」。2番目が「好み」。この好みが非常に難しい。多くのワインに触れている方であれば何が喜ばれるのか。

ボルドースタイル?、ブルゴーニュ品種?、白、ロゼ、最近ではオレンジ系もある。カリフォルニアのカルト系も、また生産量が少なく入手が難しい日本ワインも候補のひとつだ。ここで次に考えるのは意外性?安定?自分が飲んだことのないワインを贈るのはいささか気が引ける。お相手の感想に共感できるか不安になる……こう考えた時、では何がギフトに当てはまってくるのか。ズバリ泡モノ。私はこの一択を推したい。

ロジックは簡単。スティルワインの難しさはバックヴィンテージの熟成がどうなっているかわからないからだ。ワイナリーのカーヴから出荷、どこでどのように保管されて今に至るのか。かといって若いヴィンテージだとどこまでこなれているか未知数である。そう考えると泡モノは最強と呼ばれる「ノン・ヴィンテージ」の存在がある。

この味わいは世界共通。ワイナリーの顔ともいえるものだからどこかしらでお目にかかることができる。さらにはブドウの出来が素晴らしい年をブレンドした究極の味わい、マルチ・ヴィンテージを打ち出すメゾンも存在する。今回ご紹介する3アイテムは話したくなる世界観がある。すべて品種違い、個性が打ち出されている。選ぶのに悩んだら、まとめて3本お贈りしてみてはいかがだろうか。


ソーヴィニヨン·ブランの存在が打ち出しているバランスの素晴らしさ

カリフォルニア・ナパヴァレー、ソーヴィニヨン・ブラン96%、セミヨン4%のブレンド。色合いのすっきりとした印象から一口口に含むと一気に広がるブドウの個性と香り。余韻には透明感のある爽やかさも。2016年がファースト·ヴィンテージ、現在は2020年がお目見え。750ミリ1万4960円、375ミリ7480円 ㉄ケンゾー エステイト ワイナリー ジャパン


メゾンのシグネチャーピノ・ノワールの凄みをリアルに味わえる
ボランジェ ピー・エヌ エイ・ワイ・シー 18

2018年収穫のピノ·ノワールを主に複数年出来の良い年をブレンドしたピノ·ノワール100%。ノン・ヴィンテージでありながら、収穫年の明確さ、畑によるバランスの極み、ブドウの持つ個性の豊かさ。熟成のポテンシャルを見事なまでに表現したレアな1本。アルファベットの意味を考えながら飲むと夢が広がる。750ミリ2万900円 ㉄WINE TO STYLE


熟成の未来はこの酸味のバランスが全てと物語っている
シャンパーニュ アヤラ ル・ブラン・ド・ブラン

シャルドネ100%、ドザージュ5g。平均6年の熟成を経てお目見え。シャルドネの酸味に鋭さとしなやかさ、そして熟成からくる丸みが表現され独特のミネラリティを打ち出している。最初はシャルドネタイプのワイングラスで。香りの芳醇さと優しさがダイレクトに伝わってくる。ブドウそのもののポテンシャルが高いことの現れ。750ミリ1万3200円 ㉄三国ワイン

Information Contact
ケンゾー エステート ワイナリー ジャパン Tel.03-3289-1215
WINE TO STYLE Tel.03-5413-8831
三国ワイン Tel.03-5542-3939

2023年11月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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