【藤崎聡子の一品×逸品ワイン】時間の流れと共に 歴史の想いを 味わいたい

豆腐にフォーカス:ロゼには塩とEXヴァージン・オリーブオイル、赤ワインは出汁割醤油と薬味、シャンパンなら湯豆腐。スダチはマスト。豆腐はワインの熟成を繊細に感じさせてくれる。さまざまな味わい方を発見できる逸材である。

醸造の目覚ましい技術革新以前にブドウを育て続ける術を探ること。これらのワインはそれが表れている。

過去があるから今がある。今があるから未来がある。私たちの生きる術はきっとこのような感覚でつながっていくのだろう。それはワインも同じ。偶然の産物として誕生したものが世代を超え、世紀をまたぎ、後世へ受け継がれていく。

年に一度しか収穫できないブドウという農産物が、この時代まで価値のある味わいに進化して続いているとは、古代ローマ人は想像しただろうか。ワインとは本当にロマンに溢れ、そして未知なる世界へと誘ってくれる。

今回の3本、受け継ぐ想いが全く異なる。南フランスのロゼ、これはドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティのオベール・ド・ヴィレーヌとドメーヌ・デュジャックのジャック・セイスが1980年代末にプロヴァンス地方で最高のワインを造ろうと初めたもの。「ワイン造りの面白さ」をブルゴーニュにはないブドウで続けている。

カリフォルニアの赤ワインは父・ロバート・モンダヴィが本当にやりたかったことを息子であるティム・モンダヴィが受け継ぎ、進化している。ワイン名の「コンティニュアム」はラテン語で継続・継承。名は体を表す、とはこのことだ。シャンパンはノン・ヴィンテージの製法ながら現代のニーズを取り入れている。三者三様の世界観、味わって欲しい。


ブルゴーニュの名匠が創り出すブレンドタイプのロゼ
地中海性気候とテロワールの特性を活かしたアイテム。サンソー、グルナッシュ、シラー、メルロをブレンド。熟した果実の甘みと雑味のない酸味のバランスが素晴らしい。他に白・赤もあり。ドメーヌ・ド・トリエンヌ「I.G.P.メディテラネ トリエンヌ ロゼ2020」750ml 2200円 ㉄ラック・コーポレーション


父が遺してくれたテクニックの可能性ここまで開花する
この1アイテムしか造らない潔さに感服。圧巻の一言。カベルネ・ソーヴィニヨン64%、カベルネ・フラン18%、プティ・ヴェルド9%、メルロ9%のブレンドタイプ。コンティニュアム「コンティニュアム・エステート・プロプライエタリー・レッド ナパ・ヴァレー2017」750ml 40700円 ㉄ワイン・イン・スタイル


2021年10月新登場ある意味究極のマルチ・ヴィンテージ
ヴィンテージ・シャンパンにもなり得る最良年を複数年ブレンド。ようやくお目見え。シャルドネ42%、ピノ・ノワール36%、ピノ・ムニエ22%。シャルドネの成熟が素晴らしかった2017年がベース。複雑味のバランスが見事。次は「コレクション243」。ルイ・ロデレール「コレクション242」750ml 8250円(ボックス付) ㉄エノテカ

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ラック・コーポレーション Tel.03-3586-7501
ワイン・イン・スタイル株式会社 Tel.03-5413-8831
エノテカ Tel.0120-81-3634

2021年11月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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