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PATEK PHILIPPE コレクション初となる年次カレンダー搭載のアクアノート


パテック フィリップに少しでも興味のある方であれば、アクアノートの丸みを帯びた8角形のベゼルを見て、ノーチラスのトリビュートであることはすぐにわかるだろう。しかし、より詳細にルーツを探っていくと、1990年に軍の最優秀の将校たちに贈られた特別注文の時計が誕生のきっかけとなったのは意外と知られていない。

それらの時計は軍を想起させる必要があったため堅牢なデザインでありながら、文字盤の中央には4つのスクエア型のダイヤモンド、もしくはエメラルドなどのジュエリーがセッティングされていたという。

こうしたアクアノートの誕生背景を知ると、伝統を重んじるパテック フィリップの中でも、自由にクリエイティビティを発揮できるコレクションということがわかる。これまでも女性用のカラフルなアクアノート・ルーチェ、旅行のタイプを問わないアクアノート・トラベルタイム、そしてケースの薄型化と注油ゼロを実現したアクアノート・アドバンストリサーチ・トラベルタイムといった画期的なモデルを生み出してきた。

そして今年登場したのが、女性用のアクアノート・ルーチェに年次カレンダーを搭載したモデルだ。一般的には機能性だけみると、3月1日に日送りの必要のない永久カレンダーのほうが複雑そうに見えるが、パテック フィリップの年次カレンダーは永久カレンダーの部品数よりもはるかに多い。単純に永久カレンダー機能の簡易版とはいえないデイリーコンプリケーションなのだ。

この年次カレンダーの面白いところは、ベースキャリバーはそのままに年次カレンダーモジュールを通常と反転となる組み合わせのため、ムーンフェイズ表示が12時位置に配置されていることだ。日付表示だけは6時位置で変わらず、12時位置にムーンフェイズ、3時位置に曜日、9位位置に月の表示の配置となって新しいデザインを生み出している。これはムーンフェイズ表示を好む女性に向けて、目立つように配置した特別なデザインといえる。

同じスポーティモデルでも円熟したノーチラスよりもリラックスしたスタイルで、より遊び心があるアクアノート。その自由なクリエイティビティは、誕生のきっかけとなった将校へのジュエリー付きタフウォッチのように、女性も複雑ウォッチを気軽に着けたいというリクエストに応えた時計なのだ。


アクアノート・ルーチェ 年次カレンダー Ref.5261
年次カレンダーモジュールを組み込んだ新開発の自動巻きキャリバー26-330S QA LUを搭載。文字盤はエンボス・パターンが施されたブルーグレーに、それを延長させたようなコンポジットストラップで一体感のあるスタイルに仕上げた。自動巻き。18KRGケース。ケース径39.9mm。827万2000円。㉄パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター☎03-3255-8109

Photograph:Takeshi Hoshi

2023年9月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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