楽園に誘う大人のラグジュアリーステイ「カペラ・シンガポール」
帯雨林が生い茂る30エーカー(約36,000坪)の敷地の中に、コロニアル建築とモダン建築が、対比しながら溶け込むように存在している。プールサイドには、野生の孔雀が現れることも。
CAPELLA SINGAPOREの熱気と自然の静寂とが交差するリゾート
「カペラ・シンガポール」はシンガポールを象徴する、都市型のリゾートホテルとして2009年に誕生した。 その優雅さの極意と魅力を、南国の島に探った。21世紀以降、観光立国として大きく舵を切ったシンガポール。2008年には世界最大の観覧車、シンガポールフライヤーのオープンを皮切りに、F1誘致によるナイトレースの開催。そしてなんといっても同国初のカジノ解禁は、世界で大きなニュースとなった。現在、年間1000万人以上が、観光目的でこの国を訪れている。その象徴として、2009年に鳴り物入りで開業したのが、セントーサ島の「カペラ・シンガポール」である。
1880年代のイギリス植民地時代に建てられた美しい歴史的建築物「タナメラ」はホテルのランドマークだ。2014年には建物内のホールで、アジア最大の食の祭典「アジアベストレストラン50」のアワードが開催され800人のゲストが訪れた。
シンガポール最南端の熱帯林に覆われた自然豊かな島、セントーサ島
セントーサ島は、シンガポール最南端の熱帯林に覆われた自然豊かな島として知られる。カペラ・シンガポールは、その島の原生林が残る30エーカーという広大な敷地の中に、様々な施設を有している。最大の特徴は、新旧のデザインを融合させた建築であろう。1880年代のイギリス植民地時代に建てられた、コロニアル様式建築物「タナメラ」と、美しい曲線を描く客室棟。世界的に著名なイギリス人建築家ノーマン・フォスター率いるフォスター+パートナーズ社によって設計されたモダンな建築物だ。
その対比の美しさには臈たけたゲストたちも、思わず息を飲むに違いない。もちろん、付帯施設も申し分がない。全112室ある客室は、開放感を重視した設計で、大きく開かれた窓からは、熱帯の島々や行き交う貿易船を見おろせて、旅情を誘う。よりプライベートを求めるなら、「ヴィラ」への滞在もお勧めだ。熱帯林の中に38棟が配されている。高級広東料理「カッシア」をはじめ、各種レストランやバーは期待を裏切ることはないだろう。ホテル内の「アウリガ・スパ」のコンセプトもユニークだ。月の周期が体に影響を与える、という信仰をもとに、様々なトリートメントを行っている。
これまで数々の賞を受賞してきた「アウリガ・スパ」
躍動するアジアを象徴するような、都市型リゾートのお手本
特筆に値する最大の魅力は、ウイルダネスとリュクス溢れる環境を誇りながら、シンガポールの市内からタクシーで10分程度という立地にある。チャンギ国際空港からでもタクシーでわずか30分足らず。しかも、ホテルには国際会議に応えうる巨大なイベントスペースまで備えている。熱帯アイランドの高級リゾートの空気感を纏いながら、ビジネスの最前線のスピード感とリアリティも併せ持つ。このホテルは、まさに躍動するアジアを象徴するような、都市型リゾートのお手本といえるだろう。
スパへのアプローチも独特。
全112室ある客室は、高級リゾートを得意とするインドネシア人インテリアデザイナー、ジャヤ・イブラヒムが手掛けた。開放的でありながら、繊細なデザインが好ましい。大きな窓一面に広がる景色は白眉である。また、ゲストはあらゆる要望に応えてくれる、パーソナルアシスタントによるきめ細かいサービスが受けられるので、さらに融通無碍に過ごすことができる。
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Capella Singapore
カペラ・シンガポール
Add. 1 The Knolls,Sentosa Island,Singapore
Tel. +65 6377 8888
Room. 112室 Facility. レストラン、バー、プール、スパ、フィットネス、ライブラリー、会議室など。
Access. 中心街から車で約10分。
Text : TAKANORI NAKAMURA.
2016年9月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)