The Modern CHASHITSU モダン茶室と 最旬ウォッチ
かつて茶室は日常から切り離された空間を演出し、「茶の前では誰もが平等である」という茶の湯の精神を説いてきた。しかし、現代では生活の一部に溶け込み、作法や所作も含めて日本の美意識として楽しむようになっている。
そんなモダンな茶室は、美の相乗効果が期待できる腕時計との相性もいい。だが、詫び寂びの世界で、華美は禁物だ。上品さを備え、凛とした佇まいを持つ腕時計が茶室にはふさわしい。
簡素さの中に、価値や美意識を見立てていく茶道の精神と似通う腕時計の繊細な美。
CARTIER
タンク ルイ カルティエ LM (左)
誕生から100周年を迎えた、ブランドを代表するコレクションのタンク。中でもレクタンギュラーケースに、丸みを帯びたアタッチメント部分のデザインを持つこのモデルは数あるタンクコレクションの中でもルイ カルティエが自ら愛用したもの。手巻きムーブメントを搭載し、100年たっても変わらないカルティエのデザイン哲学が凝縮されている。手巻き。18KPGケース。ケースサイズ33.7×25.5㎜。145万8000円。カルティエ カスタマー サービスセンター 問0120-301-757
PATEK PHILIPPE
永久カレンダー Ref.532 (右)
パテック フィリップが得意とする永久カレンダーの新型は、インデックスにブレゲ数字を採用したのが特徴。文字盤にはアイボリーカラーのラッカーが塗装され、上品な光沢を放つのも魅力。シースルーバックからは巻き上げ効率に優れるマイクロローター式の自動巻きキャリバーを覗くことができる。ラグの側面には彫り込みが施され、サイドからの美しさも演出する。3気圧防水。自動巻き。18KRGケース。ケース径39㎜。1028万1600円。アワーグラス銀座店 問03-5537-7888
お茶の美味しさを引き立てるだけでなく、季節感を感じさせることも重要なお茶菓子。ブルーダイヤルの腕時計で中秋の夜空を想う
IWC
ダ・ヴィンチ・クロノグラフ“ローレウス・スポーツ・フォー・グッド
ラウンドケースへと回帰したダ・ヴィンチシリーズから、スポーツを通じて社会貢献する財団とのパートナーシップモデルが登場。12時位置には時と分の同軸積算計を備え、時刻表示のように計測結果が読み取れるクロノグラフ機構を搭載。6時位置にはフライバック機能や秒針停止機構付きのスモールセコンドを備える。ダイヤルは深いブルーダイヤルを採用し、和装・洋装問わずコーディネートしやすいカラーリングとなっている。自動巻き。SSケース。ケース径42㎜。153万9000IWC問0120-05-1868
詫び寂びの世界の中でも、凛とした茶花の上品さは欠かせない。メンズファッションでは腕時計が茶花のような存在だ。
ZENITH
クロノマスター エル・プリメロ グランドデイトフルオープン (左)
文字盤にサファイアガラスを採用してシースルーにすることで、ムーン&サンフェイズやビッグデイト表示のメカニズムを見えるようにした新作。ケースバックもシースルーとなっており、クロノグラフの名機として知られるエル・プリメロの精緻な動きを両面から覗ける、フルオープン仕様となった。50時間以上のパワーリザーブ。自動巻き。SS×18KRGケース。ケース径45㎜。140万4000円。LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス 問03-5524-6420
TAG HEUER
オウタヴィア ホイヤー02 クロノグラフ (右)
ダッシュボード用計器をルーツに持ち、1962年にクロノグラフとして誕生した「オウタヴィア」。復刻されたのは、ファーストモデルではなく、F1ドライバーのヨッヘン・リントが愛用していた1966年製モデル。デザインは忠実に再現しながらも、ムーブメントには最新の自社製クロノグラフキャリバー、ホイヤー02を搭載する。自動巻き。SSケース。ケース径42㎜。58万3200円。LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー 問03-5635-7054
抹茶茶碗は美味しくお茶をいただくための道具。けっして鑑賞会になるような茶碗ではいけない。腕時計もまたしかり。
AUDEMARS PIGUET
ロイヤル オーク・フロステッド ゴールド (左)
ジュエリーデザイナーとのコラボレーションでロイヤル オークに新しい魅力が加わった。フィレンツェのジュエラーが昔から採用していた鍛金技法(フロステッド仕上げ)をゴールドのケース&ブレスに施している。光の屈折でダイヤモンドダストのようにキラキラと輝く、これまでの時計にはない仕上げとなった。ケースのエッジ部分の鏡面仕上げとのコントラストがより際立つ。自動巻き。18KPGケース。ケース径37㎜。550万8000円。オーデマ ピゲ ジャパン 問03-6830-0000
HUBLOT
クラシック・フュージョン クロノグラフ ベルルッティ スクリット キングゴールド (右)
靴の宝石と称されるベルルッティとのコラボ最新作。今回はクロノグラフに、スクリットデザイン入りのベネチアレザーをダイヤルとストラップに採用。このスクリットとはルイ15世の古文書からインスピレーションを得た、ベルルッティを代表するデザインモチーフ。ブラウンのベネチアレザーとキングゴールドケースの組み合わせが抜群の相性をもたらしている。限定250本。自動巻き。18Kキングゴールドケース。ケース径45㎜。420万1200円。ウブロ 問03-3263-9566
簡素な中に美を見出すのが茶の湯の精神ならば、3針時計にもその精神は宿っている。
BREGUET
クラシック 7147 (左)
しっとりとした質感を持つエナメル文字盤の新作ウォッチ。このエナメル文字盤はガラス質の釉薬を金属板に塗り、約800度の高温で焼成した「グラン・フー エナメル」。低温エナメルと比べ、歩留まりが悪いが美しさは格別の仕上がりとなる。純白の文字盤にはプリントされたブレゲ数字インデックスが美しく映え、エクボのように窪んだスモールセコンドも控えめな上品さを漂わす。自動巻き。18KRGケース。ケース径40㎜。246万2400円。ブレゲ 問03-6254-7211
OMEGA
シーマスター アクアテラ マスター クロノメーター (右)
左右シンメトリーデザインとなり、縦ストライプが横ストライプに変更するなど、デザインが一新されたアクアテラ。さらに円錐状のリューズなど、ディテールにエッジを効かすことでシャープな印象を際立たせた。ムーブメントにはMETASによって認定されたコーアクシャル マスター クロノメーター キャリバー8900を搭載し、高い耐磁性や精度を備える。150m防水。自動巻き。SSケース。ケース径38㎜。62万6400円。オメガお客様センター 問03-5952-4400
人の手で天体の動きを再現するのが時計の醍醐味のひとつ。茶室もまた人の手で自然を演出している。
ORIS
クロノリス デイト
1970年代は宇宙への関心が高まった時代で、近未来的で流線形のケースデザインが流行した時期。そんな1970年に誕生したクロノリスの復刻モデルが登場。ラグと一体化した流線形のケースやマルチカラーのデザインといった、レトロなスタイルをそのまま再現している。下のリューズはインナーベゼルの操作用。細かいブレスのコマも当時を再現している。10気圧防水。自動巻き。SSケース。ケース径39㎜。20万5200円。ユーロパッション 問03-5295-0411
茶の湯の道具における見立てが、日本の美意識の原点。その感性が現代のモノ作りにいまなお生きている。
BELL & ROSS
BR V1-92 ブラック スティール (左)
航空時計をルーツに持つベル&ロスらしい、ブラック文字盤にホワイトのインデックスを組み合わせたシンプルで視認性の高い1本。レトロな雰囲気を醸し出すドーム型のサファイアクリスタルとシンプルなベゼルを採用し、洗練されたスタイルに仕上がっている。38.5ミリ径のケースは腕なじみもよく、スタンダートウォッチとしてシーンを選ばずに着けこなせるのが特徴だ。自動巻き。SSケース。ケース径38.5㎜。28万6200円。オールブルー 問03-5977-7759
CUERVO Y SOBRINOS
ヒストリアドール トラディション (右)
キューバ発のブランドとして創立135周年を記念した、1940年代製の復刻モデルが登場。格子状の文字盤にはドットや台形のインデックスを配して、ドーム状のガラスは典型的なヴィンテージスタイルを演出。秒針の先端にある赤いマーカーも当時流行のスタイルを再現した。ストラップはカウハイドレザーを合わせることで、クラシカルな雰囲気を出している。自動巻き。SSケース。ケース径40㎜。42万6600円。ムラキ 問03-3273-0321
Photographs:takeshi Hoshi Styling:katsuya Kubokawa Cooperation:shuhally
茶道具撮影協力:菊池商店 問03-3611-3006
2017年9月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)