AUDEMARS PIGUET 名門の伝統と技術が結晶した永久カレンダーウォッチの傑作
もしあなたが時計の歴史に深く興味をお持ちになり、日時計に始まるその歴史を紐解いてみれば、永久カレンダー機能の付いた腕時計こそ、古代から人類が思い描いた「理想の時計」であることがわかるだろう。
なぜなら時計はそもそも神が決めた「宇宙の法則」を人間の手で忠実に再現するために誕生し、太陽と地球の天文学的な関係を再現した機械だからだ。地球は太陽の周囲を1年間かけて1周(公転)しているが、その軌道はほぼ円形で太陽と地球の距離はほとんど変わらない。
ところが地球は公転するだけでなく1日1回の周期で自ら回転(自転)していて、しかもこの回転軸が約23.4度傾いているため、公転の途中で太陽から地球に降り注ぐエネルギー量が変化し、その結果として雨季や乾季、四季など季節の移り変わりが生まれる。
そして農耕牧畜を生きる糧とする人類にとって、季節の移り変わり、時間の経過を正確に把握することは、生存と安心と繁栄のために不可欠なことだった。
そのため人類は太古の昔からこの「宇宙の法則」の解明に取り組み、最終的に辿り着いたのが現在の修正グレゴリオ暦であり1日24時間制。つまり永久カレンダー機能を備えた時計は、まさにこの「宇宙の法則」を人類の手で忠実に再現した精密機械なのである。
1875年にスイス・ジュウ渓谷でジュール=ルイ・オーデマとエドワール=オーギュスト・ピゲの2人が創業したオーデマ ピゲは、当時から永久カレンダー機構を搭載した懐中時計の製作が盛んだったこの地域で、その発展に偉大な貢献をしてきた。
1955年には、それまで懐中時計のみだった、閏年機能付きで100年間はカレンダー修正が不要な永久カレンダー機構を搭載した腕時計を史上初めて製造・販売している。今回撮影した時計は、その最新モデル。
ロイヤル オークケースを纏い、スポーティでしかもエレガントなデザイン、高精度に加えて、ケース厚わずか9.5mmとしなやかなブレスレットが実現する快適な着け心地も魅力だ。
ロイヤル オーク・パーペチュアルカレンダー
「複雑時計のゆりかご」として知られるスイス・ジュウ渓谷で伝統を継承しつつ未来を見据えた革新的な時計作りを続ける名門の永久(パーペチュアル)カレンダーの最新モデル。搭載ムーブメントは374パーツから構成される、厚さわずか4.31mmと超薄型の自社製キャリバー5134。振動数は19,800振動/時(2.75Hz)。グランド・タペストリー模様の文字盤には、4つのインダイヤルで閏年、月、曜日、日付、月齢を表示。さらに時分針と同軸の矢印針で週も表示する。なおアヴェンチュリンディスク上に配されているレーザー加工で描かれた「アストロノミカル ムーンフェイズ」と呼ばれる月齢表示は125年と317日にわずか1日の誤差という高精度を誇る。自動巻き。18KPGケース&ブレスレット。ケース径41mm。1026万円。オーデマ ピゲ ジャパン問03-6830-0000
Photographs : Hisashi Wadano Text : Yasuhito Shibuya
2017年3月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)