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PHILLIPSオークション スティーブ・マックイーンの奇跡の1本 伝説のホイヤー「モナコ」

オークションには、信じられない、とてつもない「奇跡」が起きることがある。それは参加者にとっても、出品者にとっても。

そんな「奇跡」が、2020年12月12日にニューヨークで、時計の世界で起きた。世界最高峰のオークションハウスであるフィリップスが開催した時計オークション「レーシング・パルス」で。

この奇跡を起こしたのは、たった1本の腕時計。クロノグラフの名門タグ・ホイヤーが、前身のホイヤー時代の1969年に開発・発売した、世界初の自動巻き、角型クロノグラフ「モナコ」の最初期モデルである。

落札価格は何と220万8000ドル(約2億2945万円)。これはタグ・ホイヤーの腕時計の、これまでの落札価格からは考えられない、オークションでのぶっちぎりの史上最高価格。だがこの驚きの落札価格には、納得できる理由がある。それはこの時計が唯一無二の「伝説」と「奇跡」に彩られた特別な1本だからだ。

この「モナコ」の最初の所有者は数々の名画で主演を務め、“キング・オブ・クール”と讃えられるハリウッドの伝説的アクションスターのスティーブ・マックイーン。彼はスタントマンを一切使わず、危険なシーンもすべて自ら演じたことでも名高い。

そしてこの時計は、そんなマックイーンがレーシングドライバーを演じ、今もレース映画の最高傑作と讃えられる1971年公開の映画『栄光のル・マン』で着用したもの。

しかも前年1970年のルマン24時間レースに、自ら当時の最新レーシングマシン「ポルシェ917K」をドライブして出走した際に、まさに着用していたそのもの。しかもこの時計にはもうひとつの素敵な、そして奇跡的な物語がある。

実はこの時計は映画撮影で使用後、マックイーン本人がマシンの整備を担当したメカニック、ヘイグ・オールトゥニアン氏に感謝を込めて、氏の名前をケースバックに刻印して自ら贈ったもの。
 
当初、ヘイグ氏は固辞したが、マックイーンから「ぜひあなたに」と言われて受け取った。そしてヘイグ氏は思い出として、この時計を大切に保管していた。それから約半世紀。

世界で唯一無二の伝説を持つこの腕時計は、奇跡のように素晴らしいコンディションで、私たちの前に姿を現し、フィリップスの時計オークションで220万8000ドルという「新たな記録」を打ち立てた。

ヘイグ氏、そして天国に居るマックイーン本人にとっても、この落札価格は驚きのはず。だがこの時計ほど名画『栄光のル・マン』でのスティーブ・マックイーンを象徴する魅力的なアイテムはない。こうした経緯を考えれば、落札価格は妥当なものかもしれない。
 
このモデルを「発掘」したフィリップスは今、時計コレクターが最も注目しているオークションハウス。なぜなら同社の時計オークションにはときどき、こんな「信じられない奇跡」のアイテムが登場するからだ。あなたもぜひ一度、その世界に注目してみては?


ホイヤー「モナコ」クロノグラフRef.1333(スライド左)ホイヤーがブライトリングなど数社と共同開発した“世界初の自動巻きクロノグラフムーブメント”である「キャリバー11」を、やはり“世界初の角型防水ケース”に搭載する。(スライド右)裏蓋には”TO HAIG LE MANS 1970″とメッセージが刻印されている。

  • Photo credit:Bernard Cahier/Getty Images

映画が撮影された、1970年の「ルマン24レース」ピットでのスティーブ・マックイーン(スライド左)。映画『栄光のル・マン』公開時のポスター。マックイーンがこの時計を着用した理由は、撮影に協力したスイス人レーシングドラーバーのジョー・シフェールがこのモデルを着用していたからだった。(スライド右)

Information Contact

フィリップス東京
東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル4階
TEL:03-6273-4818 
メールでのお問い合わせ:tokyo@phillips.com
お問い合わせ先サイト:https://www.phillips.com/

Text:Yasuhito Shibuya

2021年3月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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