Cartier サヴォアフェールが息づく躍動感あるパンテール


つい先日、カルティエは東京・原宿で、独自のクリエイティビティを体感できる『TIME UNLIMITED – カルティエ ウォッチ 時を超える』を開催した。約3週間の限定で、カルティエの時計製造の真髄に迫るイベントだ。

会場は4テーマで区切られ、創業時から現代に至るまでの時計作りのムービーやヒストリカルピースの展示、空中を浮遊しているような時計の展示など、単なる時計の陳列ではなく、体験を重視した構成が印象的だった。

さらにカルティエのDNAと職人技をテーマとして体験できる独自プログラムの「LES MOMENTS CARTIER」にも参加した。これは来日したエナメル職人とスケルトン技法の職人によるアトリエ体験ができるというもの。とりわけエナメルの技法はカルティエの誇るヘリテージであり、頻繁に使われる欠かせない技術であるというから貴重な体験だ。実演では、カルティエの象徴であるパンテールのアウトラインが刻まれた金属のプレートに、ルーペで覗きながらエナメルを塗り、オーブンで焼き上げる工程を行ってきた。カルティエのサヴォアフェールの奥深さを身をもって知ることができた。

さて、今回ご紹介するのもカルティエのサヴォアフェールを感じられる「ラ パンテール」ジュエリーウォッチだ。今にも飛びかかってきそうな、躍動感あふれる豹(パンテール)のフェイスが文字盤の上に鎮座する大胆なモデルだ。

このパンテールデザインはカルティエを代表するモチーフ。誕生のきっかけは1930年代後半にジャンヌ・トゥーサンという女性が取り組んでいたファウナ&フローラ(動植物)のジュエリー制作だった。そのひとつが豹のフェイスや四肢、豹柄を使ったモチーフだ。それは瞬く間に評判となり、1949年にはウインザー公爵夫人が注文した152.35カラットのサファイア・カボションの上にダイヤモンドで作られた豹を載せたブローチは、カルティエの代表作のひとつにもなっている。その後、このモチーフを腕時計に応用したコレクションを展開することとなった。

この「ラ パンテール」ジュエリーウォッチは、パンテールのフェイスに瞳にツァボライトをセットし、鼻や斑点にはブラックラッカーを施すことで、ミステリアスな表情を生み出し、強烈な印象を与える。文字盤にはサンレイ仕上げを施し、ベゼルにはダイヤモンドを配して上品に仕上げた。ジュエリーとしての造形の力強さと優雅さ、ウォッチとしての知的な上品さを兼ね備える逸品だ。カルティエが連綿と守り抜いてきたサヴォアフェールを実感できる1本といえるだろう。


ラ パンテール
カルティエを代表するアイコンであるパンテールのヘッドを大胆に備えたジュエリーウォッチ。イエローゴールド製のパンテールのフェイスにはペアシェイプのツァボライトの目をセットし、鼻や斑点にはブラックラッカーを配した。サテン仕上げのゴールドカラーの文字盤にブルースティール針が映え、ベゼルにはダイヤモンドを配して上品に仕上げた。時刻合わせはケースバックに備えたボタンを押して調整できる。18KYGケース。クォーツ。ケース径23.6mm。479万1600円。㉄カルティエ カスタマー サービスセンター ☎︎0120-1847-00

2023年11月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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