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PATEK PHILIPPE 南国リゾートへの旅情を搔き立てる、 ブルーグレーカラーが冴えるGMTウォッチ

アクアノートが一躍脚光を浴びたのは2004年のこと。ベゼルにダイヤモンドをセッティングしてカラーダイヤルを展開したアクアノート・ルーチェだった。リリース当初からクオーツモデルが多く、高級時計でカラー文字盤を一挙に6種類も発表するのは異例のことだった。それ以降、大胆なカラーリングはアクアノートの大きな特徴となっている。2007年には40mmへとケースサイズを拡大することで、コンプリケーションを搭載することが可能となり、トラベルタイム機構やクロノグラフを載せたアクアノートが登場することとつながる。

今年のアクアノート・トラベルタイム5164は、そんなアクアノートの魅力を併せ持つ新作だ。これまでのステンレススティール(廃盤)、ローズゴールドモデルに次ぐ、ホワイトゴールドのニューバージョンで、アクアノート・ルーチェを思わせるニュアンスのあるブルーグレーを文字盤とコンポジット・バンドに採用し、カジュアル・シックの印象をいっそう高める1本となった。

スポーティな外装はトラベルタイム機構ととても相性がいい。トラベルタイム機構とは、GMTウォッチの一種だ。一般的なGMTモデルには時分針とは別に24時間表示用の副時針のGMT針を備え、副時針を動かすオフィスGMTと時針を動かすトラベルGMTの2タイプがある。パテック フィリップのトラベルタイムは後者で、滞在地のセカンドタイムの針をリューズではなく、左サイドの上下のプッシュボタンで操作できるようにした。さらにデイ&ナイト表示を備えてホームタイム用とローカルタイム用にそれぞれ設け、24時間表示を省いて12時間表示だけでふたつのタイムゾーンを読み取れるようになった便利なGMTウォッチとなっている。

さて、アクアノート・トラベルタイムはもちろんのこと、パテック フィリップの時計すべてに関わるニュースもお伝えしておこう。パテック フィリップは独自の品質規準であるパテック フィリップ・シールを設けているが、今年から新たに2つの規準を改定した。ひとつは搭載する機械式ムーブメントのサイズ、トゥールビヨンなどの機構によって精度規準が異なっていたが、今後はすべての機械式ムーブメントを一律で日差-1~+2秒とすること。ふたつ目は防水性能において一律で30mの防水性能を導入することだ。

そこで気になるのが、これまで120m防水であった表題のモデル。しかし心配ご無用だ。30m防水に変更されたものの、これまでと同様のスペックを持ちながら30m防水は保証し、より高い精度規準を標準化。計時機器としての時計の性能を重視する姿勢を示したのだ。実際、トゥールビヨンを搭載したときの日差-1~+2秒と同じ精度をすべての時計に適応するというのだから驚きだ。また一律の精度規準や防水性能を設けることは、メンテナンス時の負担軽減という狙いもあるだろう。しかし、よりハイスペックな時計を供給されることはユーザーにとって歓迎すべきニュースであることは間違いない。

アクアノート・トラベルタイム 5164
コンポジット素材のバンドに構造的なチェッカーボード・パターンが刻まれ、これに呼応するエンボス文字盤がアクアノートのデザインアイコン。今年はブルーグレーという淡いブルーを採用。文字盤には地に銀めっきを施し、ブラッシングした後に特殊なうわ薬を用いて微細な粒子面にするオパーリンという仕上げを施している。バンドには特許を取得したホワイトゴールド製の折り畳み式バックルを装備する。18KWGケース。自動巻き。ケース径(10−4時位置)40.8mm。30m防水。998万円。㉄パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター ☎︎03-3255-8109

Photograph:Takeshi Hoshi

2024年6月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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