ゴルフバッグも積めるグランドツアラー、マクラーレンGT

全長4680ミリ、全幅2095ミリ(ドアを開くと2690ミリ)、全高1213ミリ(車高調節機能つき)

マクラーレンGTならゴルフにも堂々といける

マクラーレンが2019年夏に英国で発表した「マクラーレンGT」は、2019年1月に千葉で開催された「東京オートサロン2020」に出展されて、大きな注目を集めていた。

GTとは(ご存知のように)グランドツアラーの略。長距離旅行に使えるスポーツカーを意味する。フロントエンジンのフェラーリやポルシェ911も、このカテゴリーに入る。

GTのセリングポイントのひとつが、リアの荷室。エンジンの上に、ゴルフバッグなど比較的大きな荷物が収納できるスペースを設けている。荷室容量は、たとえばロングツーリングにも使える「マクラーレン570GT」の150リッターに対して420リッターとだいぶ大きい。

スタイリングでは、リアに搭載されたV8エンジン用の巨大な箱型ともいえるエアインテークが目をひく。いかにもパワーがありそうだ。車高も1213ミリとかなり低い。

たしかに、エンジンはしっかりパワフルだ。3994ccのV型8気筒ドライサンプユニットを搭載。ツインターボチャージャーで、620馬力(456kW)の最高出力と、630Nmの最大トルクを誇るのである。570馬力の570GTのさらに上。スポーツシリーズの600LT搭載の3799ccV8の600馬力(441kW)と620Nmを上回るというものだ。

車重は1.5トンに抑えられているので、出足は速い。最大トルクは5500rpmからとさすがスポーツカー的なのだが、1500rpmあたりから有効なトルクが出てくる。その先も加速が鈍ることがない。

センターコンソールのドライブモードセレクターで「アクティブ」を選びシステムを作動。左がわのコントローラーで足回りの設定を、右のコントローラーで「コンフォート」「スポーツ」「トラック」からエンジン特性を選択する。

私が好きなのは、「スポーツモード」だ。アクセルペダルへのレスポンスはすばらしく、静止から時速100キロまで3.2秒というだけあって、加速のするどさはリアルスポーツカーだ。それでいて、乗り心地はけっして固すぎないのも魅力だ。マクラーレンのクルマは伝統的に乗り心地がいい。それが感心させられる点である。

路面が荒れていても、サスペンションはの凹凸をきれいに吸収。この特性は、720Sでも体験できるが、とりわけこのGTだとありがたい。

高速道路では片手をステアリングホイールに添えているだけで、ステアリングは路面からの干渉をほとんど受けない。ドライバーは、スポーティセダンに乗っているぐらいの突き上げしか感じず、驚くほど楽チンにハイスピードクルージングが楽しめるのだ。

インテリアは造型感覚はマクラーレン車でしか体験できないエッジが効いたもので、素材の選びが、それを引き立てている。スポーツカーなのだが、気持がいい。

オプションでレザーでなくカシミア素材が選べるのもユニークな点だ。牛革はCO2排出の一因だし、野蛮だといういまのファッションや家具の業界のトレンドに合致しているではないか。価格は2645万円からという。

ぜいたくな素材とオーガニックな造型が特徴的で、GTだけあってオーディオにも凝っている

 

3994ccV8は456kW@7500rpmの最高出力と630Nm@5500−6500rpmの最大トルクを発生

 

ガラスハッチを持ち、エンジンルーフの上の空間とフロントに荷物用のスペースが設けられている

 

ゴルフバッグはこのように搭載する

 

小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。読者の方がたの興味に合致しそうな”いいクルマ”の世界を紹介していきたい。

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。