エレガント、かつ速い?? アストンマーチン・バンテージにフルオープン

全長4465ミリ、全幅1942ミリ、全高1243ミリ

英国のスポーツカーメーカー、アストンマーティンが2020年1月に発表した「バンテージロードスター Vantage Roadster」が、2月にはやくも日本でお目見えした。510馬力とパワフルないっぽうで、エレガントなスタイルの2人乗りだ。

ゴルフバッグも積めますと謳われる、ニューモデルのバンテージロードスター。レースでも活躍しているピュアスポーツカー、バンテージのラインナップに加わったフルオープンモデルだ。

そもそもスポーツカーとはオープン、という”公式”どおり、アストンマーティンは伝統的にソフトトップのモデルを、ラインナップに持ってきた。最近では2プラス2の「DB11」12気筒モデルに「ボランテ」というオープンモデルを設定している。

バンテージロードスターは、静止から時速100キロまでを3.8秒で加速するという俊足ぶりを誇り、メーカー発表の最高速は時速306キロに達するという。

オープンモデルは通常、幌の骨組みや開閉のメカニズム、さらにボディの剛性補強などで重量がだいぶ重くなるのを覚悟しなくてはならないものだが、バンテージロードスターでは重量は60キロ増でとどめられている、とアストンマーティンでは胸をはる。

オープンモデルというと、エレガンスにキャラクターを振ったモデルというのが一般的であるいっぽう、バンテージロードスターはアダプティブ・ダンピングシステム、ダイナミック・トルクベクタリング、エレクトロニック・リアディファレンシャルなど、走りのクオリティを高める装備満載で、「力強いパフォーマンスと卓越したダイナミクス」がセリングポイントなのだ。

足まわりなどはオープン化にあわせての専用チューニングで、加えてドライブモードセレクターの設定も、ロードスターのためのものとなっているのが特徴だ。

「多くの人にとって、オープントップ・スポーツカーを走らせることは非常に爽快な体験であり、人生に活気をもたらします」。アストンマーティンの社長兼最高経営責任者のドクター・アンディ・パーマーは述べている。

世のなかにオープンスポーツモデルが多いのは、主要市場のひとつである北米の消費者がそれを強く求めるためだという。彼の地では、スポーツカーはオープンでなくてはならない、という”信念”をもつひとが少なくないのだ。

ロードスターのソフトトップが往々にしてブラックなのは、紳士が持つこうもり傘は黒色の布で張ってあるのとにている。雨の日でも紳士は傘などささないという英国のスタイルにより、黒は(歌舞伎の黒子のように)存在していても存在していないものなのだ。

なので、バンテージロードスターに乗ったら、できるだけオープンで走るのがスタイリッシュだ。インテリアの仕上げはぜいたくで、かつデザイン性に富んでいる。

このクルマにとって、内装は外装の一部と考えてよい。なので、幌をおろしたまま、美しい内装を見せながらドライブすることが、アストンマーティン・オーナーの美学といってもいい。

見せることが大事なクルマのことを、プロムナードカーと呼んだりするが、バンテージロードスターに関しては、さきに触れたとおり、ドライブも積極的に楽しめる内容。

4リッターV型8気筒エンジンは、375kW(510ps)の最高出力と、685Nmの最大トルクを発生して、後輪を駆動する。価格は日本でも12万6950スターリングポンド(1ポンド=143円として約1820万円)とされている。

英国の伝統的なスポーツカーらしくドライバーは後のほうに座る

 

ソフトトップは電動で6.7秒で開く

 

ほとんどの部分がレザーで覆われたぜいたくな内装

 

六本木の東京ミッドタウンでお披露目された(右はバンテージAMR、奥がバンテージ) 写真=安井宏充/アストンマーティンジャパン

 

小川フミオ / ライフスタイルジャーナリスト

慶應義塾大学文学部出身。自動車誌やグルメ誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。活動範囲はウェブと雑誌。手がけるのはクルマ、グルメ、デザイン、インタビューなど。読者の方がたの興味に合致しそうな”いいクルマ”の世界を紹介していきたい。

関連記事一覧