日常を潤すガラスの芸術がより身近に!

ヴェネチアングラスの傑作を生んできた「カルロ モレッティ」が、兵庫・芦屋にギャラリーを移転オープン。より現代の暮らしに沿った形で、作品を楽しめる。

Text:Kunihiko Nonaka

イタリアは日本と同様、職人の国である。 金銀細工、革工芸、服飾、靴作りといった職人技が古くから地域に根付き、現代にまで連綿と伝えられている。中でもひときわ華やかな歴史に彩られてきたのが、ヴェネチアングラスだ。古代ローマに起源を発するガラス技法から生まれ、ヴェネチアのムラーノ島に職人が集められて発展したのが13世紀末。ルネサンス期の王侯貴族に愛され、15世紀にはヨーロッパのガラス市場をほぼ独占したという。熟練のマエストロが吹いたヴェネチアングラスは、どこまでも繊細。

その複雑な造形美は、紛うことなきアートである。 そんなヴェネチアングラスの伝統に、現代的なエッセンスを織り交ぜて高く評価されているのが「カルロ モレッティ」だ。ヴェネチアングラスを生業とする家に生まれたカルロとジョヴァンニのモレッティ兄弟が、1958年に創設したムラーノの工房である。まだ20代だった彼らは、伝統的な技法にモダンアートやデザインの要素を掛け合わせ、驚くような独創性を発揮。瞬く間に世に知られるようになり、ニューヨーク近代美術館をはじめとした世界中の美術館に収蔵・展示されるまでになった。

その有機的で温かみのある作風は、「オーガニック・デザイン」とも称される。日常生活にスッと溶け込み、涼やかなアートの感性をもたらすのである。日々の暮らしを潤す、唯一無二のインテリアといえる。 これまでカルロ モレッティの作品は、東京・銀座のショップで入手することができた。この秋からは、兵庫・芦屋の閑静な住宅街に移転し、ギャラリースタイルでより洗練された世界観を楽しめるようになるという。また同時に、WEB上でも気軽に作品に親しめるようEコマースもスタート。より現代のライフスタイルに沿った形でカルロ モレッティを楽しむことができるはずだ。


色とりどりのドリンキンググラスは、2000年から発表されているコレクター向けの作品「i diversi」。遊び心たっぷりのさまざまなモチーフが施され、つい集めたくなる。全54種類。各1万8360円。奥のオブジェは、2006年発表の「i piccoli」。7万3440円。

カルロ モレッティの創業者であるカルロ&ジョヴァンニのモレッティ兄弟。伝統技術に新風を吹き込み、「類い稀なる匠の工房」と呼ばれる存在に育て上げた。もちろん、その製法は昔と変わらず、マエストロ(熟練した職人)による手吹き。1点ずつサインと年号が刻まれ、手元に届けられる。まさに現代のイタリアン・クラフツマンシップを代表する存在といえるだろう。


カルロ モレッティの創業者であるカルロ&ジョヴァンニのモレッティ兄弟。伝統技術に新風を吹き込み、「類い稀なる匠の工房」と呼ばれる存在に育て上げた。もちろん、その製法は昔と変わらず、マエストロ(熟練した職人)による手吹き。1点ずつサインと年号が刻まれ、手元に届けられる。まさに現代のイタリアン・クラフツマンシップを代表する存在といえるだろう。

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