HG TOPIC Vol.30

The Ultimate
ハイエンドなコンセプトウォッチ

作り手の夢と理想を実現したコンセプトモデルを、製品として手にして日々使うことができる。 これはクルマなど他のアイテムでは不可能な、時計好きだけに許された最高の体験だ。

どんな世界でもコンセプトモデルは、ブランドの理想や美意識を素直に表現する特別なもの。クリエーターの夢と情熱、新技術が詰まった「未来を先取りした」モデル。だから観ると素敵な気持ちになる。ただコンセプトモデルはほとんどの場合、製品化されることはない。

たとえばコンセプトカーは、実際に走行することができても、そのまま製品になることはまずない。製品化にはまずコスト、さらにパーツの耐久性や保安基準など、高いハードルがあるからだ。

それでも例外的に「未来を先取りした」夢のコンセプトモデルを、製品として手にできる世界がある。そう、ほかならぬ高級時計の世界だ。ここでご紹介するカルティエとオーデマピゲ、この2つのコンセプトモデルも、時計作りの体制はまったく異なるが、それぞれ輝かしい伝統と卓越した技術を持ち、スイスの時計業界のハイエンドに君臨する2つのウォッチ・マニュファクチュールの、それぞれの「夢と時計作りの神髄」が心ゆくまで楽しめる腕時計。

どちらも「時計芸術の追求」という志は同じ。しかも2つには、優れた精度を実現するために有名無名の時計師たちの情熱から生まれた複雑機構のひとつ「トゥールビヨン」搭載という技術的な共通点がある。しかもどちらも、至高の宝飾技法を組み合わせるという同じアプローチを行っている。

その仕上がりはどちらも素晴らしいもの。時計芸術を極めた、「夢の逸品」として完成している。さて、あなたはどちらがお好みだろうか。

パシャドゥカルティエ

ダイヤルとムーブメントを一体構造とする独自のアプローチで、スケルトンモデルの持つ「美の可能性」を追求してきたカルティエ。2020年の新作コレクションのハイライトとして登場したのが、このトゥールビヨンモデルである。簡単に交換が可能な「クイックスイッチ」システムを搭載した2 本のアリゲーターストラップが付属するのも魅力だ。手巻き。18KPGケース。ケース径41mm。1115万4000円。問カルティエカスタマーサービスセンター 問0120-301-757

ロイヤルオークコンセプトフロステッドゴールドフライングトゥールビヨン

水紋のように広がる陰影のあるブルーに心奪われる多層構造のダイヤル。その底で神秘的に燦めく、ブリリアントカットダイヤモンドをセットしたゴールドのフライングトゥールビヨンケージ。その煌めきと呼応するフロステッドゴールド製のケース。モダンなアート作品と呼びたい1本だ。手巻き。 18KWGケース。ケース径38.5mm。参考価格1842万5000円(為替により変動いたします)。問オーデマピゲジャパン 問03-6830-0000

Text:Yasuhito Shibuya

2020年11月『HORLOGERIE』本誌より引用(転載)

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