シネマパンフで蘇る「燃えよドラゴン」に熱くなった頃。


みんな強くなりたかった!

昭和の少年たちのシネマの中のヒーロー。中でも“ブルース・リー”は別格のレジェンドといえるのではないだろうか。

あの「アチョーッ、アチャ、アチャ、アッ、チャチャチャチャ」の雄叫びと、贅肉の全くない身体から放たれる目にもとまらぬ機敏な動き、そしてぶんぶん振り回すヌンチャク!相手が目を回してる間に、すっこーんとノックアウト!!

そう、「燃えよドラゴン」である。

Enter The Dragon は1973年に制作、公開され世界各国で大ヒットとなったカンフー映画で、香港のブルースリーが主催するプロダクションとアメリカのワーナー・ブラザースの合作。

日本では1973年12月に公開されたのだが、ブルースリー本人はすでに故人となっていた(1973年7月死去)。なんと、日本人が燃えよドラゴンで彼に出会ったとき、彼はすでにレジェンドだったのです!


では、物語。

南シナ海に浮かぶ要塞島で3年に一度の武術トーナメント。世界中の名だたる武術家に香港の何んとも怪しい組織から招待状が届く。その一人、ロサンゼルスに住む黒人の空手家ウイリアムス(ジム・ケリー)は、香港に出発する日に警官2人にいちゃもんをつけられると、得意の空手で難なくノックアウト。パトカーを拝借して空港へ。サンフランシスコのローバー(ジョン・サクソン)は、ゴルフ中に高利貸しに雇われた殺し屋からの脅しに一撃!そのまま空港へ。

一方、少林寺で仏の道と武術の修業中のリー(ブルース・リー)。招待状が届くが無視!しかし、修道僧長に要塞島の支配者ハン(シー・キェン)がかつて少林寺の修道僧で、学んだ教えを自分の利益のために悪用していると知らされる。しかも、数年前に妹がハンの手下でオハラ(ボブ・ウォール)率いる男たちに襲われたとき、肉体をけがされるよりはと、死を選び自害したことを父から聞かされるのだ。

リーはハンや手下のオハラへの復讐心に燃えて、要塞島に向うのである。島へ向かう帆船で、ローバーやウイリアムスと一緒になり意意気投合。島につくとタニア(アーナ・カプリ)というハンお気に入りの美女が一行を出迎える。

実はこの時、リーは秘密情報局からの依頼で、ハンが島内で行っている麻薬製造密売の内情を探る任務を受けていた。島では女性秘密情報部員が手助けをしてくれることになっていた。その日の夜。部屋を抜け出し島内を探り、麻薬密造の巨大地下工場を発見!途中、数人の傭兵たちに見つかるが、難なく倒し、何気なく部屋に戻る。

翌日、トーナメントが開催され、ローバーやウイリアムスはいとも簡単に勝ち進む。そしてリー、相手は偶然にも、あの憎っくきオハラ!憎悪に燃えるリーにかなうわけもなく、不利とみると、底を砕いたガラス瓶を2本。両手に振りかざすのだが、リーは必殺の飛び蹴りを放ち地面に叩きつけ、空中高く飛び上がると勢いそのまま、オハラ臓器を怒りとともに踏みつぶし、とどめを刺すのだ!

ところがその日の夜。なんと昨夜の秘密工場に忍び込んだのはウイリアムスだとハンに間違われて殺されてしまう。さらにハンは、自分の見方につけたと思い込んでいたローパーに麻薬秘密工場を案内しただけでなく、ウイリアムスの死体まで見せて自分の力を誇示しようとするのだ。しかし、これが仇になることは・・・。

一方リーは、再び地下工場に潜入。確かな事実を秘密情報局に連絡しようとするが、警報機が鳴り、ハンの大勢の部下たちが襲い掛かってくる!次々になぎ倒していくのだが、とうとう捕まってしまう。

翌日、ハンは自分の見方だと思い込んでいたローパーに、リーと一騎討ちを命じる。しかし、親友ウイリアムスを殺害したハンに憎悪をいだいていたローパーはリーと共に一騎打ちと見せかけてその場で反旗を翻す!ちょうどそのころ、女性秘密情報部員が捕虜となっていた大勢の武術家たがいる地下牢を開ける!野外へ溢れ出してハンの部下たちと大乱闘。

bリーのやることは、ハンとの直接対決あるのみ!リーに恐れをなしたハンの卑怯な戦法が連発。相手がどこから襲ってくるかわからない鏡の部屋や、ハンの秘密兵器、自身の腕にカセット出来る鉄の爪!!!最後は超人的な耐力と武術力に勝るリーが勝利!とどめを刺し復讐をとげるのだ。

CGの無い時代。とにかく生身の人間同士の、しかも武術家同士のぶつかり合う超アクション映画!映画が終わると、そのころ小学生や中学生だった少年たちは皆、いっぱしの武術家の顔をして映画館から出てきたものです。そしてブルース・リーのカンフーに憧れて少林寺拳法に入門した人も多かった。

露地で「アチョーッ」と叫びながらヌンチャクの練習をしている子供たちもいた。懐かしくもあり、遠き昭和の、元気で果敢なころの時代を想い起こされる。


さて、そもそもブルース・リーとは。

1940年に中国オペラのコメディアンの子供としてサンフランシスコで生まれています。比較的裕福な家庭で、少年時代は香港で空手を習い、その後、ワシントン大学に進み哲学科を修了。

卒業後はロサンゼルスで空手道場を開き、なんと!門弟の中には、スチーブ・マックイーンやジェームス・コバーンなどそうそうたる映画の大スターたちがいました。彼らのすすめもあってテレビシリーズの「グリーンホーネット」のカトー役、そう、カンフーの達人でホーネットの用心棒です!さらに「バットマン」にも出演します。

その後、香港ではすでに人気俳優だったブルース・リーを見出したのは、香港だけでなくハリウッドでも名が売れたレイモンド・チョウです。彼が制作する映画に主演した香港映画が世界的にも注目を浴びます。それをきっかけに「燃えよドラゴン」の主演を、それだけでなく、自分が納得できるアクション映画を、手がけることになります。

しかし、映画は大ヒットしますが封切の少し前に32歳という若さで彼は他界してしましました。幾年月を超えてもファンが絶えない永遠のアクションスター、ブルース・リーを惜しみ、自身が少年だったころを思い起こし「燃えよドラゴン」に今一度熱くなる人も多いことでしょう。DVDを買ってでも、今一度観たい傑作ではないでしょうか。

ここに紹介した48年前の「燃えよドラゴン」のシネマパンフレットを懐かしまれる方も多いと思います。(表紙を見て分かるように、CG合成ではなく手描きのリアルイラストです!)

余談。ブルース・リーに憧れているデップリ太った青年。香港の田舎でブタ飼いをして暮らしているが、実はカンフーの達人で悪党をやっつける!という映画。サモ・ハン・キンポーが主演・監督の「燃えよデブゴン(1978年制作香港映画)」「動けるデブ、デブゴン」として一時脚光を浴びています。

次は、あのクイーンの名曲でもある「フラッシュのテーマ」が主題曲の映画「フラッシュ・ゴードン」です。

関連記事一覧