【藤崎聡子の一品×逸品ワイン】宿泊施設も魅力の ワイナリーから 生まれた美酒

パン・コン・トマテ:今回ご紹介した国でも、よく供されるトマト。赤・白、両方と合わせるにはシンプルな味わいがベスト。パンの表面をしっかり焼きニンニクをこする。塩、EXVオリーブオイル、トマトを合わせれば完成。トマトは熟したものが良い。酸味が穏やかになる。

 
ワインが誕生する環境で、暮らすように過ごす特別な時間は食事もさらに楽しめるだろう。

ヨーロッパが発祥と言われているアグリツーリズモ(農村や農場で過ごす休暇のこと)。休暇の取り方が日本とは違い、長期で考える彼らにとって、農村での生活を求めることは自然なことなのだろう。近代化に伴い街は発展したが、一方で失われていった自然との調和。

それを取り戻してくれるのが、ワインのある暮らしだったのではないだろうか。自然の最たる産物がワインだからである。今回は、このアグリツーリズモを体験できる宿泊・食事を提供するワイナリーをご紹介する。地の食には地の酒を。この風習は世界共通言語なのだ。

アルゼンチンからはアンデス山脈の麓にあるテラザス。ポロの競技場も隣接され、まさにビックネイチャーを体感できるだろう。イタリアはウンブリアから。本質を求める美食家が注目している「緑の心臓」と呼ばれているエリア。ロッカフィオーレのワインが誕生する畑の美しさは一日中見ていても飽きない。

ポルトガルは、宿泊施設がルレ・エ・シャトーに加盟するキンタ・ダ・カルサダ。食とワインだけではない。ヴィーニョ・ヴェルデの歴史を伝える荘厳な世界を体感できる。今は、いつか、これらを訪問する楽しさを想像しながら、ぜひその恵みの美酒を味わってほしい。


こなれたタンニン旨みとの調和覚えておきたい1本
アルゼンチンのマルベック100%。この品種の器用さは口に含んだ瞬間広がる濃厚な果実で感じるだろう。しなやかで柔らかくしっかりしているが食事を尊重してくれる。これはシンプルに牛肉を。理想はハラミのグリル。テラザス 「レゼルヴァ マルベック 2018」750ml 2750円。㉄MHD モエ ヘネシー ディアジオ


複雑な口当たり熟成からくる濃厚さは別格
グレケット・ディ・トーディ100%。熟成にオークの大樽と一部はアンフォラを使用。酸味の穏やかさ、果実の上品な甘さ、余韻の長さは白ワインながらチキンのグリルが食べたくなる。少し冷やしめのスタートがおすすめ。ロッカフィオーレ「フィオルフィオーレ2018」 750ml 3520円。㉄スリーボンド貿易


完熟された果実とバランスのよい酸味が驚きのコンビ
ポルトガルを代表する白ブドウ品種・アルヴァリーニョ100%。発酵の前に低温で寝かせることがミネラル感と柑橘の香りを一層引き立たせている。しなやかに仕上がっている酸味はアペリティフからメインまで通せる心地よさ。この味わいは記憶に残したい。キンタ・ダ・カルサダ「アルヴァリーニョ2021」 750ml 3080円。㉄TYクリエイション

Information Contact

MHD モエ ヘネシー ディアジオ
Tel.03-5217-9731

宿泊先URL:https://www.terrazasdelosandes.com/en/come-and-visit-us

スリーボンド貿易
Tel.03-5447-6991

宿泊先URL:https://roccafiore.it/en/

TYクリエイション
Tel.03-5344-9031

宿泊先URL:https://www.casadacalcada.com/en/185-2/

2022年9月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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