【藤崎聡子の一品×逸品ワイン】餃子×ブレンドの妙を味わう3本

ワインと合わせるなら、豚肉と牛肉、それぞれ赤身を挽いてブレンドしたタイプを。合わせる野菜はキャベツと長ネギ。味付けは生姜の搾り汁がメインでニンニクは不使用。ワインには塩とレモンをタレ代わりにするのがおすすめだ。

 
身近な一皿と得も言われぬ味わいを堪能できるシャンパン、白、赤をワインスタイリストの藤崎聡子氏が厳選。そんな家飲みワインをもっと楽しむためのご提案をお試しあれ。第1回は、餃子とワインの“ブレンド力”の共演を堪能してほしい。

嗜好品の世界は一度魅力的なものに出会うとどんどん引き込まれてしまう、魔力を持つものだと思う。その一つがワイン。「ワインって好きなのだけどわからない」という言葉をよく耳にするがそれでよいと思う。ワインがわかる、という言葉のほうが信じがたい。同じワインでも何を食べながら飲むか、誰と飲むか、どこで飲むかで1本のワインの表情は多彩に変化し、別物と感じることもあるからだ。

ただ人は、“味の記憶”を積み重ねていくことができるので、意識しながら飲むと違いを理解できるようになる。覚えやすいのはシャンパン。3つのブドウ品種しか使わないからで、これらをブレンドするか、1種類のブドウだけで作るか、その差に気を配って飲むだけで「この前の味と違う」となる。そこからは探求の日々だ。

今回ご紹介する3本のワイン、共通点は“ブレンド力”のパワーがあること。合わせる一皿は餃子である。こちらもワイン同様、肉、野菜を“ブレンド”して美味しさを完成させる料理だからだ。ワインとフード、ともにブレンドからくる複雑な味わいがどう絡み、引き立てあってくれるのか、ぜひとも体験してほしい。今回のワインを“味の記憶”のベースにすれば、次に違うワインと餃子を合わせたときに違いが明確になる。餃子もまずは塩とレモンで。そうすることで醤油の旨みとの違いが見えてくるだろう。


ヴィクトワール ブリュット【Champagne】
シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3品種ブレンドタイプ。口に含むと広がるきれいなミネラルのアタック、果実のしっかりとしたボリューム、余韻はいつまでも続く。ブドウそれぞれの役割をしっかり果たしている印象。750ml 7150円。


ハースト ランチ シャルドネ グレーシャー リッジ 2016【White Wine】
ステンレスタンク82%、フレンチオーク樽18%の比率でブレンドさせているシャルドネ100%。ワイナリーのあるパソ・ロブレスはブドウ本来の酸味と果実のバランスが見事に表現できるエリア。雑味のない爽やかな味わいは虜になる。750ml 4950円。


クロニック・セラーズ パープル・パラダイス 2017【Red Wine】
ジンファンデルをベースにシラー、プティ・シラー、グルナッシュをブレンドしている赤ワイン。ブドウそれぞれの個性を複雑に絡ませながら明確に味わうことができる。タンニンの奥行きの深さ、口の中に広がる濃厚な果実感はバランスも良い。750ml 3520円。

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2020年8月「HORLOGERIE]本誌より引用(転載)

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